皆川明『100日 WORKSHOP』 ミナ ペルホネンの布と100日間すごした人たちの記録(アート・美術館のおすすめ本)

ワタリウム美術館とミナ ペルホネンの不思議なワークショップ

2016年に、ワタリウム美術館が開催したワークショップの記録です。
講師はミナ ペルホネンの皆川明さん。
ミナペルホネンの布地を使い100日間かけて何かを作っていく、
最終的に何が出来上がるかは誰も知らない。
それどころか、完成させる必要もない。
ただ、布と向きあった100日間の気持ちの動きを感じ取る。
そんな、異色のワークショップだったようです。

物を作るタイプのワークショップはだいたい
あらかじめ何を作るか決まっていて、
それに合わせて材料が用意してあり、
参加者は一か所に集まって、二時間くらいで作品を仕上げる…という流れが定番です。

ところがここでは、材料(ミナ ペルホネン布地が何種類も!)こそ用意してあるものの、
参加者は100日のあいだ、1人で布と向き合い続けることになります。
月に1回くらい集まって作業する時間もあり、最後の100日目は作品を持ち寄って講評をしたようですが、
それ以外の時間はすべて自分ひとり。
形式もまったくの自由で、1つの作品を完成させた人もいれば
色々なものを作りあげた人もいる、
袋物、ぬいぐるみ、アクセサリーといった手芸をする人がいるかと思えば
布のイメージからハーブティーをブレンドする人や作曲をする人もいる、
という多彩ぶりでした。

物を作る時って、目の前にある者から何を作ろう、どうやって手を加えようと
考えて計画しているときが一番楽しかったりしますよね。
その一番楽しい部分だけをちょっと覗かせてもらったような気持ちになれます。

ワークショップの様子を写した写真、参加者が綴った記録、
皆川さんのお話やゲストとの対談などで100日間の道のりをたどる旅。
自分も参加したつもりで楽しむのがおすすめです。

書籍情報

皆川明『100日 WORKSHOP』スペースシャワーネットワーク,2017
皆川さんのお話や、ゲストとの対談も収録されています。

美術館情報 ワタリウム美術館

東京都渋谷区神宮前3-7-6

11時~19:00時(水曜日は21時まで延長)

月曜休館(祝祭日除く)
年末12/31~年始1/4まで休館

一般1000円 学生800円 会員無料(25才以下)
ペア割引:大人2人 1,600円 / 学生2人 1,200円 /
小・中学生 500円 70歳以上 700円

公式ホームページhttp://www.watarium.co.jp/

このワークショップを開催するにあたって
「一日限りではなく、ずっと考え続けられるような、新しいワークショップを」
と頼んだワタリウム美術館。
現代アート専門の私設美術館です。
わたしなどは、現代アートなんてよく分からないし、
作者の主義主張を押し付けられて終わりそうだし…と敬遠しがちだったのですが。
このワークショップの参加者がやっていた、
目の前にある何かから受け取ったメッセージを自分の中で再解釈して新しい何かを作りあげるという作業がまさに現代アートでは?
と思ったことで現代アートの敷居がぐんと低くなった気がしました。