ぶらぶら美術・博物館 明治神宮創建100年、神宮の杜芸術祭「天空海闊」「紫幹翠葉」開催中(2020.08.11)

今回は2020年3月に完成した原宿駅西口からすぐの
明治神宮南参道の鳥居前から始まりました。
神宮の杜全体をアート展の舞台にしてしまう「神宮の杜芸術祭」は
日本各地で展開されている文化芸術の祭典「日本博」の一環です。

2020年8月11日のぶらぶら美術館
鎮守の杜・明治神宮が創建100年!「神宮の杜芸術祝祭」
〜明治神宮がアートの舞台に!最新ミュージアム&神聖な森に野外彫刻!〜

放送日時 8月11日(火) 午後8時~9時

放送局 日本テレビ(BS日テレ)

出演者
山田五郎 (評論家)
小木博明 (お笑いコンビ・おぎやはぎ ボケ)
矢作 兼 (お笑いコンビ・おぎやはぎ ツッコミ)
高橋マリ子 (モデル・女優)

山口裕美 (芸術監督)

今回のぶらぶらは、東京・代々木にある明治神宮へ。今年、明治神宮は、創建100年。それを記念して、初の試みとなる芸術イベントが開催されているのです。
まずは、野外彫刻展「天空海闊」。4名の現代アーティストの立体作品が広大な境内の森のそこかしこに展示されています。明治神宮の森は基本的に “禁足地”。そこに野外彫刻を飾るなんて、本来はあり得ない事。創建100年だからこそ許された超特別な展示なのです。そんな “現代アート” と、圧倒的な自然 “明治神宮の森” とのコラボを堪能します。
続いて、明治神宮ミュージアムで開催されている企画展「紫幹翠葉」へ。こちらでは注目の現代アーティスト40人が、明治神宮にインスピレーションを受けた作品を一堂に展示。世界的に有名な彫刻家・流政之さんの娘、流麻二果さんや、ひびのこづえさんの奇抜な作品。さらには世界で唯一の“塩の芸術家”山本基さんが初めて手掛けた絵画作品や、森村泰昌さんの傑作も登場!
“創建100年”の今だからこそ見られる貴重な展覧会の魅力を余す事なくご紹介します。(ぶらぶら美術館ホームページより)



明治神宮の杜とアート

およそ東京ドーム15個分の敷地面積を持つ明治神宮は、
その大半が人工の森におおわれています。
これは1920年に全国から集まった青年団11万人が、10万本の苗木を植樹したもの。
最初は伊勢神宮のような森を東京にも作ろうと計画されていたのですが、
伊勢神宮の杜を形成するスギやヒノキは保水力に欠ける関東ローム層の地質似合わず、
また当時すでに近くを通っていた鉄道(当時は蒸気機関車)のススに弱いため、
本田清六をはじめとする当時の林学の専門家たちが協議を重ねた結果
広葉樹を中心とする森がつくられることになりました。
ちょうどこの年に安定した極相林となるよう計算されて作られたそうです。

この森を舞台に開催される「神宮の杜芸術祝祭」。
ここで展示されるアート作品も、100年先まで残るのでしょうか。


野外彫刻展 天空海闊(てんくうかいかつ)

神聖な場所である神宮の杜に彫刻を展示する前代未聞の展覧会。
車の乗り入れが原則禁止されているため、彫刻の搬入はほぼ人力で行われたそうです。

(彫刻作品は12月13日まで展示されます)

松山智一《Wheels of Fortune》

絵画を中心に活動する松山さんの彫刻作品です。
ステンレスでできた不思議な造形は
銅鏡のような繊細な模様をほどこした車輪と、
神聖な動物である鹿の角の組み合わせ。
見方によっては人工的にも野生的にも見えてきます。

三沢厚彦《Animal 2012-01B》

実物大の白い虎の像が森の中から顔を出しています。
よく見れば丸っこくて可愛げのある顔をしているのですが、
参道から距離があるために本物の虎がいるように見えるかもしれません。
木彫の虎を長期の野外展示のためにブロンズにつくりなおしたもので、
木を彫ったノミの跡もそのまま残されています。
作者の三沢さんは、作品を見にくるたびに「虎動いてたよ」と言うそうです。

船井美佐《Paradise/Boundary-SINME-》

巨大なステンレスミラーの作品なので、
周囲の風景が映り込んでそこだけ空間が歪んでいるようにも見えます。
ちょっと見ただけではそこにあることを見逃してしまいそうです。
丸いミラーの中に切り抜かれた前足をあげた馬(神馬)は、
明治天皇の愛馬「金華山号」がモデルだそうです。

名和晃平《White Deer (Meiji Jingu)》

その名の通り、白い鹿の彫刻です。
宮城県石巻市に展示されている全長6mの作品をレンタルする予定だったのが
搬送が不可能で実現できず、
この展覧会のために新作がつくられたそうです。
パールホワイトに塗装されたブロンズ像は石巻のWhite Deerよりも大分小柄ですが、
それでも重量は600Kgになります。


美術展 紫幹翠葉(しかんすいよう) ― 百年の杜のアート(明治神宮ミュージアム)

2019年10月にオープンした明治神宮ミュージアム(設計は隈研吾)では、
現代アーティスト40名による絵画作品が展示されています。
うち30点は、日本画の伝統的な形式である
扇面画(扇子の地紙、または扇形の紙に描いた絵)の作品。
同じ大きさ・形の作品でありながら、それぞれの個性が際立つ競演でした。

(会期は9月27日まで)

扇面の作品

流麻二果《内外(うちと)》

独特の色づかいの風景画で「色の魔術師」と言われる流さん。
これもまた日没のようにも見えれば、彼岸の世界のようにも見える
不思議な世界を描いています。
タイトルの通り、内と外を分ける狭間の世界を表しているのかもしれません。

森山亜紀《創られた杜》

静かな青い森と、ほのかに明るい鳥居、
端っこには原宿のビル群がちらっと見える、明治神宮そのもののような作品。
実在の人形をモチーフにドラマのある「人間劇」を絵にする森山さんは、
この作品のためにジオラマを自作してから改めて扇面に描き起こしたそうです。

山本基《たゆたう庭》

塩を使ったインスタレーションを作る山本さんは
今回はアクリル絵の具で作品を描きました。
亡くなった家族との記憶に見立てた白い渦巻のつながりは
「想い出のレース」に例えられます。
高橋さんは「曼荼羅みたい」と言っていました。

ひびのこづえ《杜が動く》

コスチュームデザインなどを手掛けるひびのこづえさんの作品は
平面ではなく扇形をした革のバッグに糸で木を描いた立体作品。
ファスナーと持ち手もちゃんとついていて、
持ち運びもできる「動く杜」なのです。

ほかにも、アジアでは吉祥の印である蝙蝠を描いたミヤケマイの《蝙蝠》、
神宮の動植物を絵の具がはみ出すほどの厚塗りで表現した山口典子の《森の生物》、
社殿に降り注ぐ強い光をとらえた海野貴彦の《神宮の杜の光源郷》、
神宮のおみくじ「大御心」にあやかって31の文字を擬人化した山口藍の《みそひと草》、
謎の生き物たちが大木を運んでいる様子を描いた石塚隆則の《木を運ぶ人》
などが紹介されました。

扇面以外の作品

屏風や掛け軸など、現代的なアートを伝統的な形式で表現した作品が揃っています。

山本太郎《羽衣バルーン》

古典絵画を現代のテイストを盛り込んだ「ニッポン画」の山本さんは、
能の「羽衣」をもとにした屏風を制作しました。
三保の松原で、漁師から羽衣を帰してもらった天女が天へ上っていくシーンを
能舞台の幕の色である黒(紫)・白・赤・黄・緑、五色の風船が彩っています。

平川恒太《森の茶会》

ガラス壁を背景に展示されたこの作品は、
外の森を借景(景色を作品の一部として利用すること)しています。
草食獣、肉食獣、家畜、狐の着ぐるみを着た「つなぐ人」も
水辺に集まって共に水を飲む姿は、
敵対関係にある者同士が茶室に入るときは
互いに作法を守って茶を喫する茶の湯の精神を表しているかのようです。

中村ケンゴ《Japanese Frogs》

漫画チックなカエルたちが、赤い背景にタテ8匹×ヨコ6匹で整然と並び、
中心だけは4匹分の空白があります。
(背中に子ガエルが載っているので倍の数かもしれません)
見た目は現代アートですが、和紙に岩絵の具で描かれたこの作品は
分類上正真正銘の日本画です。

ミヤケマイ《雨降って箱入り娘かえる》

「箱入り娘」は梅雨時の空気にあてられて家を出て行った猫のこと。
(この季節の猫は落ち着かなくなるんだそうです)
画中の猫の上には無事「かえる」のを祈るように、
不思議なポーズをとるカエルが乗っています。
描いてある花や、ミヤケさん自身がプロデュースした表具から
季節や状況が分かる仕掛け。絵の鑑賞とともにちょっとした謎解きも楽しめます。

森村泰昌《野にありて飛べ》

画中の人物になりきって写真を撮るセルフポートレートで知られる森村さん。
ここでは《信貴山縁起絵巻》に登場する、
醍醐天皇が病に倒れたとき信貴山の命蓮聖人の祈禱に応えて駆け付けたという、
剣の衣を着た護法童子に扮しています。
展覧会を企画しているときに新型コロナウイルスの問題がもちあがって
急遽参加が決まった作品なのだそうです。


明治神宮ミュージアム

東京都渋谷区代々木神園町1-1

木曜休館(祝日の場合は開館)

10時~16時30分
※入場は閉館の30分前まで

一般 1,000円
高校生以下 900円
小学生未満 無料
※障がい者手帳提示で本人のみ無料

公式ホームページ