美術館・博物館のファンにとって、夏のミュージアムは楽しみながら涼める素敵な場所ですが、冷えすぎで体調不良を起こしやすいのが難点です。
ここでは、美術館・博物館で適度に涼みつつ楽しく鑑賞するための冷え対策を考えます。
美術館・博物館で空調対策が必要な理由
年々暑さが厳しくなる現代では、熱中症対策のために適度な冷房が欠かせません。
ところが温度が下がりすぎると、今度は体調不良の元になってしまいます。
多くの美術館・博物館の展示室は温度・湿度の管理が行き届いていてとても快適なのですが、うっかり具合を悪くして肝心の鑑賞の妨げになったら大変です。
空調対策は万全にしておきましょう。
美術館・博物館の空調は寒くて当たり前!?
夏の暑い日にミュージアムに出かけて、空調の効いた展示室でホッとしたのも束の間。
今度はなんだか寒い、背中がゾクゾクするし喉が痛くなってきた…
なんて体験をした人は、わたしだけではないと思います。
どうしてこんなに空調がきついんだ!? と文句を言いたくなるかもしれませんが、展示室の空調は展示品の保存に適した温度・湿度に調整されているのです。
展示品にもよりますが、一般的に温度22~24℃、湿度50~55%と言われていて、大抵の展示品にとって快適な温度・湿度は、人間にとって快適な温度・湿度よりもかなり低くなっています。
(それでも展示室内は、保存管理が最優先の収蔵庫に比べれば人間向きな環境のはずです)
美術館・博物館の空調対策
それではいよいよ、美術館・博物館で効果的な対策です。
ここで挙げる基本的な対策は、ミュージアム以外の公共施設やレストラン、乗り物などでも使えます。
夏の冷房対策にご活用ください。
羽織もので対策
こちらの記事でも紹介したように、カーディガンやショールなどの羽織ものを持っていくのは効果的な空調対策です。
特に夏は薄着になりがちなので、いざという時に備えてカバンの中に常備しておくと良いでしょう。
うっかり忘れてしまった場合は、とにかく首周りを覆ってください。
首の付け根には太い血管が通っているため、ここを守ることで効率よく体を温めることができます。
(逆に熱中症対策では、首を冷やすことで効率よく体温を下げられるわけです)
首の周りにハンカチを1枚巻くだけでも大分違いますので、もしもの時は試してみてくださいね。
気温差に慣らす
意外と忘れがちなのが、屋外と室内の気温差に体を慣らす時間をとることです。
暑い外を歩いている時、体は汗をかいて熱を発散することで体温を下げようとします。
そこから急に空調の効いた室内に入ると体の切り替えが追いつかず、必要以上に冷やしてしまうのです。
とは言っても空調の緩い出入り口の近くなどで少し休息をとるだけで、特別なことをする必要はありません。
大抵の人はミュージアムに入館してすぐ展示室に入ることはなく、間に幾つかの用事を済ませると思います。
(ロッカーに荷物を預ける・トイレに行くなど)
こういったプロセスを意識的に行うことで、体に気温差に慣れるための時間を与えてあげてください。
この時、首や背中の汗を拭くのも有効な対策です。
発汗による体温の低下を穏やかにするだけでなく、汗で濡れた衣服でさらに体温を奪われる事態を防ぐことができます。
(顔や首はともかく、背中の汗を拭くのはトイレなど人目につかないところでお願いします…念のため)
対策を忘れた時は…寒さに耐えるより相談してみよう
うっかり空調対策を忘れて展示室に入ってしまった…なんてこともあると思います。
日時指定予約の時間がギリギリになってしまった、行ってみたらひどく混雑していて余裕がなかった、なんてこともあり得ますよね?
そんな時は我慢しないで、近くにいる職員さんに相談しましょう。
展示室には高確率で監視係の方がいてくれるので、まず声をかけてみてください。
美術館や博物館でよく行われているサービスには、次のようなものがあります。
ブランケットの貸し出し
新型コロナウイルス対策で一時期姿を消していましたが、最近復活しつつあるようです。
職員の方にお願いして貸し出してもらう方式の所も多いので、まず「ブランケットの貸し出しはありますか?」ときいてみましょう。
一時退出の手続き
一度展示室を出て態勢を整えるのも有効な手段ですが、ミュージアムによっては「再入場不可」となっている所もあります。
こんな時も近くの職員さんに頼んで一時退出の手続きをして貰えば、当日中の再入場ができるはずです。
ミュージアム側もお客さんに理不尽な我慢をさせたいわけではないので、相談すればどうにかなることは意外にたくさんあります。
美術館・博物館の空調対策は快適な鑑賞の鍵
収蔵品に合わせた美術館・博物館の環境は人間に合わないこともありますが、自力で動くことができない収蔵品と違って、人間は自分の工夫で快適に過ごすことができます。
楽しく快適なミュージアム体験のために、対策は万全にしておくことをお勧めします。
最後になりますが、空調対策を万全に行ったにもかかわらず、やっぱり体調が優れないという時もあると思います。
冷えに限らず、どうしても体調が悪いという時もあることでしょう。
そんな時は絶対に無理をせず、適当な場所で休息をとって下さい。
それでも良くならないようなら、予定はキャンセルして帰りましょう。
動くのも辛いほど深刻な場合は、職員の方に助けを求めて救急車を呼んでもらうこともできます。
あなたの健康には入館料に替えられない価値があることをお忘れなく。