松岡美術館(東京・白金台)リニューアルオープン ― 《猫の給仕頭》もお出迎え

東京の港区白金台にある松岡美術館が、2022年1月に
およそ2年8か月の長期休館を経て、リニューアルオープンを迎えました。
大人気の彫刻作品《猫の給仕頭》も、1階ロビーで見ることができます。

松岡美術館のリニューアルオープン

松岡美術館は、松岡商店(現在は松岡冷蔵・松岡地所)創始者の
松岡清次郎(1894-1989)が蒐集したコレクション
およそ1,800点を公開するために、1975年にオープンしました。
2000年に現在の場所に移り、
2019年6月からコレクションの修復調査・設備改修工事のため長期休館。
2022年1月26日にリニューアルオープンしました。

松岡美術館について

コレクションの内容は
彫刻・陶磁器・日本画・フランス近代絵画など多岐にわたります。
書画骨董を愛する趣味人だった松岡清次郎は、
若いころから多くの美術品を収集し、
約50年をかけて一大コレクションを築きました。
美術館の建設を考えたのは、80歳を迎えるころだったそうです。

最初の美術館がオープンしたのは、
港区新橋にある松岡田村町ビルの中でした(1975年11月)。
初代館長に就任した清次郎氏はその後も蒐集を続け、1987年ごろには
“大きな彫刻増に囲まれ、芝生の上で家族そろって食事ができるような”
野外美術館を計画していたそうですが、
実現しないまま1989年に亡くなりました。

新しい美術館の計画は遺族に引き継がれ、
白金台の自宅跡に現在の松岡美術館が建てられることになります。
(1997年竣工、2000年開館)
ロビーと一部の展示室から見える庭園は
旧宅の庭をそのまま残してあるそうです。

リニューアル後の松岡美術館 ― 高校生以下無料・25歳以下は500円!

2019~2022年の改修工事では、
天井や壁のクリーニング・空調や照明の更新といった設備のアップデートが中心で
利用者の視点ではほとんど変わっていないと思います。

入館料は25歳以下が大幅に値下げされて500円、
さらに高校生以下は無料になりました。

また、1階ロビーの常設展示には
ローマ時代の彫刻《アルテミス》(1-2世紀)が加わりました。
(ヘレニズム後期のギリシア彫刻をモデルにローマ時代に制作されたものだそうです)
2000年の年月で多くのパーツが失われ、胴のみが残っている状態ですが、
衣装のドレープや体の柔らかい曲線など、見どころの多い彫刻です。


松岡美術館の《猫の給仕頭》― 人気の彫刻作品はグッズも充実

松岡美術館のマスコット《猫の給仕頭》(1967)も1階ロビーで迎えてくれます。

ピンと背を伸ばして後ろ足で立ち上がり、
前足で大きな皿をかかえた猫のブロンズ像。
尻尾で体を支えているところも可愛らしいこの彫刻は、
本来の用途は鳥の餌置きで、
小鳥の天敵である猫が恭しく餌を差し出しているという、
ちょっと可笑しい作品です。

《猫の給仕頭》の葉書・クリアファイルはそれぞれ2種類

野外に置かれることを想定した立体作品なだけあって
どこから見ても可愛い《猫の給仕頭》。
2015年の入場者による人気投票で一位を獲得したのも納得の名品ですが、
その姿を平面のグッズに落とし込もうとすれば、
当然ながら決まった方向から見た姿しか見られないわけです。

それを寂しいと思った人がいたのかもしれません。
松岡美術館のミュージアムショップに置いてある
《猫の給仕頭》の絵ハガキとクリアファイルは、
正面から見たものと斜めから見たもの、各2種類が用意されています。

実は、後ろから見ても可愛いのですが…
他の角度から見た姿は実物を見て確認すべし、ということでしょう。

《猫の給仕頭》の作者、ディエゴ・ジャコメッティはどんな人?

《猫の給仕頭》の作者は、スイス出身の家具デザイナー兼彫刻家
ディエゴ・ジャコメッティ(1902-1985)です。

「ジャコメッティ」というと細長い彫刻が思い出されますが、
この限界まで引き延ばされたような人物彫刻で有名な
アルベルト・ジャコメッティ(1901-1966)は、ディエゴの兄にあたります。
また父のジョバンニ・ジャコメッティ(1868-1933)はスイス印象派の画家、
弟のブルーノ・ジャコメッティ(1907-2012)は建築家と、
芸術の才能が豊かな一家だったようです。

ディエゴはジュネーヴの美術工芸学校を卒業した後、
アントワーヌ・ブールデル(1861-1929)に学んでいた兄のアルベルトを頼り、
パリに共同のアトリエを構えました。
(家具などを共同制作したほか、アルベルトの助手やモデルも務めていたそうです)
なお、松岡美術館の入り口を入ってすぐの場所にある
女性像《ペネロープ》(1912)はアルベルトの師匠ブールデルの作品です。

ディエゴ・ジャコメッティが動物の彫刻をつくりはじめたのは
第二次世界大戦の頃で、以来定期的に動物の作品を発表。
代表作のひとつである《猫の給仕頭》は本人もお気に入りだったようで、
作品集の表紙にも採用されています。


「再開記念展 松岡美術館の神髄」
《青花双鳳草虫図八角瓶》《青花龍唐草文天球瓶》も登場!

再開を記念した特別展では、多岐にわたるコレクションの中から
選りすぐりの名品を公開します。

「館蔵 東洋陶磁名品選 松岡清次郎の志をたどる」(第4展示室)には、
1974年に松岡清次郎のコレクションに加わった
《青花龍唐草文天球瓶》(中国 明代、景徳鎮窯)と
《青花双鳳草虫図八角瓶》(中国 元代、景徳鎮窯)が、
それぞれ単独のケースで展示されています。
松岡清次郎の陶磁器コレクションの中でも最上位の名品であり
美術館設立のきっかけともなったこの2つが
一緒に展示されるのはおよそ7年ぶりのこと。
さらに、この2つが購入された時の
通信記録や新聞記事といった資料も展示されています。

オークションで購入したポルトガルの銀行王がその2週間後に政変で逮捕されたため
一度は逃した清次郎のもとにやってきた《青花龍唐草文天球瓶》と、
美術館の目玉になるべき作品として、
中国の美術品としては史上2番目の高値で落札された《青花双鳳草虫図八角瓶》。
景徳鎮の名品2点を前に、松岡清次郎の情熱に思いをはせてみるのは如何でしょうか。

松岡美術館(東京都港区白金台5-12-6)

2022年1月26日(水)~4月17日(日)

月曜休館(祝日の場合は翌平日休館)

10時~17時 (第1金曜日のみ19時まで)
※入館は閉館の30分前まで

一般 1,200円
25歳以下 500円
高校生以下 無料
障がい者手帳をお持ちの方 無料

公式ホームページ