スウェーデン出身の陶芸家リサ・ラーソン(1931-2024)は、活動初期から愛嬌のある動物のシリーズを手がけています。
中でも有名なキャラクターは、猫のマイキーくん。
赤い縞々とギョロっとした目つきが特徴の彼は、誕生以来イラスト、絵本、テキスタイル、グッズなどに活躍の場を広げてきました。
リサ・ラーソンについて
リサ・ラーソン(Lisa Larson 1931-2024)はスウェーデン出身の陶芸家です。
ヨーテボリデザイン工芸大学で学び、卒業後アートディレクターのスティグ・リンドベリにスカウトされて、23歳でグスタフスベリ社に入社。
(グスタフスベリは当時スウェーデン最大の製陶会社)
およそ26年グスタフベリ社で働き、一点物の制作と量産品のデザインを両方手掛けています。
最初の大量生産品のシリーズである「LILLA ZOO(小さな動物園)」や「STORA ZOO(大きな動物園)」など、現在も世界中で愛されているデフォルメされた動物のシリーズはこの頃に作られました。
リサは1980年にグスタフスベリ社を退社し、フリーのデザイナーとしてデパートや企業と仕事をするようになりました。
ドイツのローゼンタール社など、国外の企業とも協力しています。
そして1992年にグスタフスベリ出身の陶芸アシスタントとともにケラミークステューディオン社を設立し、過去の作品を復刻生産するようになりました。
90代になっても活動を続けていましたが、2024年3月11日に永眠。
92歳でした。
リサは日本でも人気が高く、1979年に日本で最初の展示会(西武百貨店)を開かれて以来、何度も日本での展示が開催されています。
リサ・ラーソンのアイコン・猫のマイキーとは?
絵本のイラストから生まれた人気キャラクター・マイキー
リサ・ラーソンのアイコンとして知られる猫のマイキー(MIKEY)は、陶芸作品ではありません。
リサの長女でグラフィックデザイナーのヨハンナ・ラーソンとコラボレーションした、絵本のイラストから生まれたキャラクターです。
リサの一家は、陶芸家のリサと画家である夫のグンナーをはじめ、3人の子どももアーティストという芸術一家なんだそうです。
マイキーは2008年4月20日生まれで、2023年が15周年でした。
現在は様々なグッズにも登場し、2011年からはじまったテキスタイル(デザインはヨハンナ)にもマイキー柄の布があります。
マイキーが登場する絵本
『BABY NUMBER BOOK』
マイキー(とその仲間たち)は、2008年にイラストとして誕生。
赤ちゃんから楽しめる数字の絵本『BABY NUMBER BOOK』(トンカチ)は、日本では2010年に発売されました。
動物のドローイングはリサ、色と構成はヨハンナが担当した、リサ初の絵本です。
『Night Cat』
2013年には文章担当のジェームズ・ブレーク(英文学の先生で、ヨハンナの夫でもあります)が参加した『Night Cat』(実業之日本社)が、世界に先駆けて日本で発売されました。
リサが書き溜めた猫のスケッチをもとに、ヨハンナが背景と全体デザインを決めたそうです。
ストーリーは英語と日本語で語られ、日本語訳は角田光代が担当しています。
『Busy Dog』にもカメオ出演
リサ、ヨハンナ、ジェームズのトリオが2015年に刊行した『Busy Dog』(実業之日本社)は犬が主人公の絵本ですが、マイキーも通りすがりの猫として登場します。
(リサはどちらかと言えば猫派だそうですが、KENNELシリーズなど犬をモチーフにした作品もたくさん発表していて、犬に対しても好意的です)
『MIKEY STYLE BOOK』
赤と白の縞模様が特徴のマイキーですが、次第に縞が水色になったサマータイプや花模様など色柄のバリエーションが増えていきます。
2022年には色違い・模様違いのマイキーを10パターン集めた『MIKEY STYLE BOOK』(トンカチ)がリリースされました。
リサ・ラーソンの猫たち ― マイキーのパパの名前は?
リサは自分でも猫を飼った経験があり、作品の中でもっともバリエーション豊富なモチーフが猫です。
1956年に商品化した「LILLA ZOO」は、リサが学生時代に制作した猫の置物をシリーズ化しては、というリンドベリの提案が始まりですから、世界中で愛されているリサの動物シリーズは、猫から始まったと言っても過言ではありません。
マイキーのモチーフになったのは「LILLA ZOO」に続く初期の陶器のシリーズ「STORA ZOO」の猫です。
当時グスタフスベリの敷地をうろついていた野良猫がモデルだったそうで、マイキーの風格ある顔つきは野良生活で鍛えたたくましさの表れかもしれません。
この「STORA ZOO」の猫は、現在「マイキーのパパ」としてリデザインされています。
リサが「2020年代という近未来を生きていく猫を想ってデザインした」パパは、グレーまたは茶色の落ち着いたカラーリングのせいか、それとも陶器の重量感のおかげか、息子よりも落ち着いた印象です。
リサのデザインした猫は「MIA」「MAYA」など、Mではじまる名前がほとんどで、マイキーのパパの名前はマックス(MAX)というそうです。