東洋文庫ミュージアムのレストラン「オリエント・カフェ」― ランチのメニュー「マリーアントワネット」とは?

2011年に開設され、2021年の10月20日で10周年を迎えた東洋文庫ミュージアム。
併設されているレストラン「オリエント・カフェ」も、同じく10周年を迎えました。

東洋文庫ミュージアムとレストラン「オリエント・カフェ」

「東洋文庫ミュージアム」は、
東洋に関する貴重書を数多く所蔵する東洋学図書館(研究所)である
「東洋文庫」併設のミュージアムとして、2011年10月20日に開館しました。

東洋文庫のコレクションの基礎になった、
ジョージ・アーネスト・モリソン(1862-1920)旧蔵の中国文献
およそ2万4千冊が一堂に会する「モリソン書庫」の一般公開や、
貴重な蔵書を使った展示などが行われるようになり、
さらに中庭には来館者が食事やお茶を楽しめる
レストラン「オリエント・カフェ」がオープンしました。
(経営元は小岩井農場)

ミュージアムとともに10周年を迎えたオリエント・カフェは、
中庭の「知恵の小径」を進んだ先にあります
(中庭は、展示室に入ってすぐ右手のドアを開けると出られます)


東洋文庫ミュージアムのランチ「マリーアントワネット」 ― 名前の由来は?

オリエント・カフェのランチメニュー(11時30分~14時30分)は、
東洋文庫や東洋学に関係のある人の名前がついています。
中でも気になるのが、1日10食限定の「マリーアントワネット」。
フランス革命で処刑された王妃マリー・アントワネットの名前がついている
このセット、いったいどんなものなのか…と注文してみることにしました。

出てきたのは、重箱に入ったお弁当。
わたしが注文したのは平日の12時前後でしたが、
カウンターの中で空になったお重が3つほど洗い上げてあるのが見えました。
日によってはすぐに無くなってしまうかもしれませんね。

お重の中身は季節によって変わるそうです。
この時はメインのローストビーフ重に一口大のおかずが数種類ついていました。
スープ・サラダとコーヒー(または紅茶)がついて2,000円のこのセット、
お箸でいただくメニューということもあって
「なぜマリーアントワネット?」と思うのですが、
理由は器にあるようです。

本の形をしたお重箱はオリエント・カフェのために特注したものだそうです。
マリー・アントワネットの母であるオーストリア女帝マリア・テレジアは
ウィーンの宮殿の中に東洋の漆器を集めた「漆の間」をつくるほどの漆器愛好家で、
マリー・アントワネット自身も漆器を好んでコレクションしていました。
漆塗りのお重は「マリーアントワネット」の名前にふさわしいと言えます。

お重の蓋(表紙というべきでしょうか…)に描かれた紋章は、
ブルボン王朝を象徴する
フルール・ド・リス(ユリまたはアヤメの花をモチーフにした紋章)を
組み込んだデザインで、マリー・アントワネットゆかりの書物からとられたもの。
オリエント・カフェのロゴマークにも採用されています。

東洋文庫所蔵・マリーアントワネットの旧蔵書『イエズス会士書簡集』

正式には『イエズス会士宣教師らによる外国宣教に関する教化的で興味深い書簡集』。
全26巻のセットで、1780年から83年にかけてパリで刊行されました。
17世紀末から18世紀後半にかけて、東アジアでカトリック布教活動をおこなった
イエズス会士の書簡報告集で、
当時ヨーロッパの知識人たちに広く読まれていたそうです。
東洋文庫にあるものは「マリー・アントワネットの旧蔵書」と伝わっており、
エンジ色の革表紙に金の箔押で紋章をあらわした豪華な装丁です。


オリエント・カフェのランチ ― メニューの由来は誰?

くり返しになりますが、オリエント・カフェでは
東洋文庫や東洋学にゆかりのある人の名前がついたランチセットが提供されます。
(ランチタイムは 11時30分~14時30分)
元になった人物を知らなくても美味しいランチなのですが、
話のネタとして、または何を食べようか迷った時の決め手に(?)
押さえておくのも楽しいと思います。
(画像はウィキメディア・コモンズより)

マリーアントワネット(1日10食限定、予約不可)

季節のお重(スープ、サラダ、珈琲または紅茶つき)
2,000円

マリー・アントワネット(1755-1793)
フランスのブルボン朝最後の王妃。オーストリア出身。
同盟のために14歳でフランスの王太子(のちのルイ16世)に嫁ぎ、
1789年のフランス革命勃発により37歳で処刑されました。
歴史に翻弄されたドラマティックな人生は後の世でも注目を集め、
池田理代子さんの漫画『ベルサイユのばら』(集英社,1972-1973)
の大ヒットもあって、日本でも多くの人に愛されています。

マルコ・ポーロセット

オムライス(スープ、サラダ、珈琲または紅茶つき)
1,720円

マルコ・ポーロ(1254-1324)
ベネチアの商人で旅行家。
1271年から1295年まで、24年にわたるアジア旅行の内容は
のちに『東方見聞録』としてまとめられました。

文庫長セット

カレーライス(スープ、サラダ、珈琲または紅茶つき)
1,720円

「文庫長」は東洋文庫の役職のひとつ。
10周年にあたる2021年10月時点の文庫長は
中国史学者(専門は宋代商業史)の斯波義信さんです。

マテオリッチセット

今週のパスタ(スープ、サラダ、珈琲または紅茶つき)
1,720円

マテオ・リッチ(1552-1610)
中国名は利瑪竇。
イエズス会宣教師。明代の中国で布教活動をおこないました。
中国最初の世界地図「坤輿万国全図(こんよぜんらんず)」をつくるなど
西洋の学問を中国に紹介したことでも有名です。

オイレンブルグセット

ハンバーグ(スープ、サラダ、パンまたはライス、珈琲または紅茶つき)
1,880円

フリードリヒ・アルブレヒト・ツー・オイレンブルク伯爵(1815-1881)
プロイセン王国の外交官として日本・中国・タイに派遣され、
1861に江戸幕府と日普修好通商条約を結びました。
報告書『公式資料によるプロイセンの東アジア遠征』のうち
日本に関する部分は『オイレンブルク日本遠征記』として翻訳されています。

プチャーチンセット

今週の鮮魚料理(スープ、サラダ、パンまたはライス、珈琲または紅茶つき)
2,600円

エフィム・プチャーチン(1803-1883)
ロシア帝国海軍の軍人。1855年に日露和親条約を締結します。
1854年の安政東海地震による津波で乗ってきた船を失い、
日本の船大工によって代りの船が建造された時の様子を描いた
「戸田浦における露国軍艦建造図巻」(別名「プチャーチン来航図」)が
東洋文庫に所蔵されています。

エカチェリーナセット

ビーフシチュー(スープ、サラダ、パンまたはライス、珈琲または紅茶つき)
2,600円

エカチェリーナ2世・アレクセーエヴナ(1729-1796)
ロマノフ王朝には「エカチェリーナ」という名前の女帝が2人いるのですが、
ここで取り上げられているのは日本人大黒屋光太夫(1751-1828)が
サンクトペテルブルクで謁見したエカチェリーナ2世と思われます。
北ドイツの神聖ローマ帝国領邦に生まれ、
ロシア皇太子のピョートル3世(第7代ロシア皇帝)と結婚。
のちに夫に対してクーデターを起こし、第8代ロシア皇帝として即位しました。

ペリーセット

サーロインステーキ(スープ、サラダ、パンまたはライス、珈琲または紅茶つき)
2,960円

マシュー・カルブレイス・ペリー(1794-1858)
アメリカ海軍の軍人。1853年に4隻の軍艦を率いて日本に開国を迫り、
翌年日米和親条約を結んだ「黒船来航」の立役者として
日本の歴史教科書でも有名な人です。

ザビエルコース(2名より。要予約)

オードブル・スープ・鮮魚料理・ビーフシチュー・デザート・パン・珈琲
6,500円~

フランシスコ・ザビエル(1506-1552)
スペイン(ナバラ王国)出身の宣教師で、イエズス会創立メンバーのひとり。
インド、マレーシア、フィリピンなどで布教した後
1549年に日本を訪れ、日本初のキリスト教伝道者となりました。


東洋文庫ミュージアムのレストラン「オリエント・カフェ」

東京都文京区本駒込2-28-21(東洋文庫内)

火曜定休(祝日の場合は翌日)
(東洋文庫ミュージアムの休館日に準ずる)

ランチタイム 11時30分~14時30分
(ランチセットのラストオーダーは14時30分)

デザートタイム 11時30分~17時30分

ディナータイム 17時30分~21時30分
(ラストオーダー19時30分)
※当面の間、営業時間は11:30~21:00(L.O.19:00)

公式ホームページ