世界遺産と日本―日本で最初の世界遺産とは?現在の登録数は?「佐渡島の金山」につづく候補は?

年に1度、ユネスコの世界遺産委員会で認定される世界遺産。
2024年に新らしく認定された世界遺産24件の中には、日本の「佐渡島の金山」も入っています。
日本が世界遺産条約を結んだのは1900年代の初め頃と、意外に最近のことでした。

世界遺産と日本

ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の世界遺産委員会では年に1度会合を開きます。
(2000年は新型コロナウイルスの蔓延のため、2022年は開催国だったロシアのウクライナ侵攻を抗議して、開催されず)
会合で話される議題のひとつに、締約国から推薦された世界遺産候補の審議があり、ここで認定された物件が「顕著な普遍的価値」をもつ世界遺産として登録されます。

日本は1992年に世界遺産条約を締結しました。
1972年のユネスコ総会で「世界遺産条約」が採択されて以来、125番目の締約国です。
(1990年代のはじめの旧ユーゴスラヴィア解体により、リスト上では124番目)

日本初の世界遺産

日本が世界遺産条約の締約国になった翌年にあたる1993年には、日本初の世界遺産4件が登録されました。

  • 法隆寺地域の仏教建造物群(奈良県、文化遺産)
  • 姫路城(兵庫県、文化遺産)
  • 白神山地(青森県~秋田県、自然遺産)
  • 屋久島(鹿児島県に所属、自然遺産)

なお2020年以降、各国が推薦できる遺産の上限は文化遺産・自然遺産を合わせて1年に1件となりました。

日本にある世界遺産の数はいくつ?

2024年9月現在、日本には2024年に登録が決定した「佐渡島の金山」を含む26の世界遺産があります。
これは世界遺産を保有する国と地域の中では11番目に多い件数です。
(1位のイタリアは、2024年現在60件の世界遺産を保有)

日本の世界遺産一覧は、文化庁のホームページに記載されています。

佐渡島の金山の世界遺産登録

佐渡島の金山は2022年に世界遺産の候補として推薦され、2024年の世界遺産委員会開催前に、諮問機関であるICOMOS(国際記念物遺跡会議)から「情報照会」の勧告を受けました。
「情報照会」とは登録の要件は満たしているものの更に追加の情報や対応が必要、という勧告です。

2024年7月の第46回世界遺産会議では無事登録が決定。
「相川鶴子金銀山」と「西三川砂金山」からなる「佐渡島の金山」が世界遺産になりました。
世界遺産委員会の開催前に、勧告された問題点に対処したことが良い結果につながったようです。
2021年に文化遺産として登録された「北海道・北東北の縄文遺跡群」以来、3年ぶりの世界遺産登録でした。


世界遺産、日本の次なる候補は?

世界遺産が登録されるには、まず世界遺産条約を締約した国が将来世界遺産に登録したい物件を記載した「暫定一覧表」をユネスコに提出しなければなりません。
この暫定リストから改めて推薦された物件が専門組織(文化遺産ならICOMOS、自然遺産ならIUCN、複合遺産は両方)による調査を受けて、翌年の世界遺産委員会で審議されます。

現在、次なる候補として日本の暫定一覧表に記載されている世界遺産は4件。
すべて文化遺産です。

日本の暫定世界遺産一覧は文化庁のホームページに記載されています。

4件のうち次に推薦される予定の候補は以下の2件。

  • 彦根城
    (滋賀県 1992年に暫定リスト記載)
  • 飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群
    (奈良県 2007年に暫定リスト記載)

残る2件は以下のとおりです。

  • 古都鎌倉の寺院・寺社ほか
    (神奈川県 1992年に暫定リスト記載)
  • 平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群-
    (岩手県 2011年に世界遺産登録、2012年に範囲拡張のため暫定リスト記載)

平泉は既に世界遺産として登録されていますが、推薦の内容が認められた際は、現在の「中尊寺、毛越寺、観自在王院跡、無量光院跡、金鶏山」に「柳之御所遺跡、達谷窟、白鳥舘遺跡、長者ヶ原廃寺跡、骨寺村荘園遺跡」が加わる予定です。