あちこちの美術館で臨時休館や展覧会の中止・延期がつづいているなか
サントリー美術館も2020年5月13日に予定されていたリニューアルオープンを
延期することになりました。
改装後の展覧会第1弾「ART in LIFE, LIFE and BEAUTY」は7月22日からです。
「生活の中の美」をテーマとするサントリー美術館のコレクションから
日本人の生活を彩ってきたさまざまな品物が展示される予定。
思っていたより少し先になってしまいましたが、
新しいサントリー美術館に出かけるのが今から楽しみです。
6月22日のお知らせで、
サントリー美術館のリニューアルオープン展Ⅰ「ART in LIFE, LIFE and BEAUTY」の会期は
7月22日(水)から9月13日(日)となりました。
公式ウェブサイトに掲載された「お知らせ」の内容は以下の通りです。
2020年06月22日
サントリー美術館 リニューアル・オープンおよび展覧会会期決定のお知らせ
サントリー美術館は、政府の緊急事態宣言発令を受けて、新型コロナウイルス感染予防・拡散防止のため、リニューアル・オープンを延期していましたが、感染拡大予防ガイドラインに基づく十分な対策を講じたうえで、7月22日(水)にリニューアル・オープンすることを決定いたしました。併せて開幕を延期していました、リニューアル・オープン記念展Ⅰ「ART in LIFE, LIFE and BEAUTY」も会期を7月22日(水)から9月13日(日)に変更し開幕いたします。
また、本展の会期変更に伴い、以降の展覧会の会期も変更となります。
詳しくはこれからの展覧会をご覧ください。なお、今後の状況により変更させていただく場合がございます。 あらかじめご了承ください。
サントリー美術館
サントリー美術館の改修工事 建築デザインは隈研吾監修
サントリー美術館は1961年、東京都千代田区の丸の内で開館しました。
1975年、赤坂のサントリービル内に移り、
2007年に六本木のミッドタウン内にある現在の場所に移転しています。
今回の改装は2019年11月11日からおよそ半年にわたり
天井の耐震強化、LED照明の導入、
エントランス・ミュージアムショップ・カフェのデザインリニューアル、
お知らせやイベント告知用のデジタルサイネージ(電子看板)の設置などが行われました。
建築デザインはミッドタウン内移転時にも設計を担当した隈研吾氏が担当。
「隈研吾」というと最近は国立競技場が有名ですが、
東京の南青山にある根津美術館など美術館も数多く手がけています。
サントリー美術館 リニューアル・オープン記念展 Ⅰ ”ART in LIFE, LIFE and BEAUTY“
東京都港区赤坂9-7-4(東京ミッドタウン ガレリア3階)
2020年7月22日(水)~9月13日(日)
火曜日休館
10時~16時 (毎週金・土曜日は20時まで)
※入場は閉館の30分前まで
一般 1,500円(1,300円)
大学生・高校生 1,000円(800円)
中学生以下 無料
※( )内は前売りチケット
※20名以上の団体は100円割引
※入館料は展覧会ごとに異なります
生活を彩る「美」の展覧会~国宝「浮線綾螺鈿蒔絵手箱」(ふせんりょうらでんまきえ てばこ)も展示
展示構成は「装い」「祝祭・宴」「異国趣味」の3章に分かれ、
サントリー美術館が所蔵する資料約3,000点のうち
生活の中でも「ハレ」の場をを彩った品々が展示されます。
「装い」では化粧道具や髪飾り、着物など実際に身に付けられた物と、
女性のファッションの変遷をあらわす美人画・風俗画が中心となるようです。
ちょっと変わったところで武具や馬具といった戦場の美意識をあらわす武士の装いも。
「祝祭・宴」は祝祭や宴の席で使われた酒器や食器などの調度品、
さらにその様子を描いた屏風も展示されます。
「異国趣味」で紹介されるのは、
16~17世紀ごろ始まった西洋との交流によって
異国人や異国への関心が高まったことでうまれた「南蛮美術」。
ポルトガル・スペインとの交易の様子を描いた「南蛮屏風」や
イエズス会の宣教師から西洋の画法を学んだ日本人が西洋の様子を描いた「初期洋風画」が。
また輸出用につくられた西洋人好みの漆器や、
西洋の意匠を取り入れた国内向けの工芸品も展示されます。
リニューアル・オープンにふさわしく、美術館所蔵の国宝・重要文化財も登場するようです。
注目を集めそうなのは何と言っても国宝「浮線綾螺鈿蒔絵手箱」。
鎌倉時代(13世紀)につくられた化粧道具などを入れておく箱で、
漆を塗った表面に金粉を蒔き詰めた上に螺鈿で
浮線綾文(丸の中に花を割りつけた伝統的な文様)をあらわした豪華なものです。
また日本の港にやってきた西洋の船と人々を描く
《南蛮人渡来図屏風》(紙本金地著色 伝 狩野山楽筆)と
西洋の王侯が馬に乗った姿を日本画の画材を使って西洋風に描いた
《泰西王侯騎馬図屏風》(紙本金地著色)はどちらも重要文化財。
17世紀の初めにつくられた南蛮美術の名品です。
さらに
鋳込み技法による青白磁の立体作品で知られ、海外でも高く評価されている深見陶治氏、
浮世絵のようなタッチで今と昔が融合したような絵を描く山口晃氏、
伝統の技術や意匠を継承しながら新しい作品を生み出す
職人集団「彦十蒔絵」の代表・若宮隆志氏、
伝統・古典と現代風俗をミックスした「ニッポン画」を提唱する山本太郎氏、
樹脂・アクリルといった現代素材を用いて
鎧兜姿の人物をモチーフとした作品を生み出している野口哲哉氏といった
現代の美術家による作品を組み合わせた特別展示もおこなわれる模様です。
この展覧会と同じ時期に国立新美術館でも
「古典×現代2020―時空を超える日本のアート」と題して
古い時代の美術と現代の美術が交差する企画展が行われる予定でしたが、
こちらも臨時休館にあわせて開催延期となっています。
古典と現代の名作を一度に鑑賞できる滅多にない機会なので
新型ウイルスにはできるだけ早く終息してほしい所です。