ぶらぶら美術館10周年スペシャル「春の熱海アートツアー」來宮神社・MOA美術館・国宝《紅白梅図屏風》

2020年4月14日のぶらぶら美術館は、10周年記念スペシャルの前編。
近年「アートスポットの宝庫」として注目を集めている静岡県熱海へ。
前編では環境づくりに力を入れた改革で参拝者数を劇的に伸ばした來宮神社、
そして2017年にリニューアルしたMOA美術館を堪能します。

2020年4月14日のぶらぶら美術館
「祝!10周年スペシャル 春の熱海アートツアー①」
〜パワースポット・來宮神社とMOA美術館 国宝「紅白梅図屏風」〜

放送日時 4月14日(火) 午後8時~9時

放送局 日本テレビ(BS日テレ)

出演者
山田五郎 (評論家)
小木博明 (お笑いコンビ・おぎやはぎ ボケ)
矢作兼 (お笑いコンビ・おぎやはぎ ツッコミ)
高橋マリ子 (モデル・女優)

雨宮盛克 (來宮神社宮司)
内田篤呉 (MOA美術館館長)
奥山峰石 (重要無形文化財「鍛金」保持者 人間国宝)

ウェブサイト


來宮神社の環境づくり 夜間ライトアップ・カフェ設置…

最初に訪れたのは、フォトジェニックな神社として注目を集めている來宮神社。
パワースポットとしても有名なご神木の大楠(樹齢2000年以上)は、
周りを一周すると寿命が1年伸びるとか。

今でこそ年間72万人もの参拝者が訪れる來宮神社ですが、
今から13年前は深刻な経営難だったそうです。
20代目宮司の雨宮さんは
「絶対に変えてはいけないもの」を除いて変えられるかもしれないものを検討し
なんと40項目もの改革を実施しました。

40項目の中にはかなりユニークなものもあります。
ディズニーランドにヒントを貰ったカメラ・スマホをセットできる台があり、
「となりのトトロ」を参考にした大楠に続く緑のトンネルがあり、
さらに大楠の周囲にLEDを設置して夜間ライトアップをおこなったり…
なんだか敏腕営業コンサルタントのお話を聞いている気分になります(笑)
境内にはゆっくりくつろぎながらコーヒーなどが楽しめる
カフェ「茶寮 報鼓」もつくられました。
改革の前とくらべて参拝者の人数は増え、13年前と比べると7倍に達したそうです。


新素材研究所・杉本博司さんのこだわりが詰まったMOA美術館

次にやってきたのは海をのぞむ絶景でも有名なMOA美術館。
2017年にリニューアルした際に設計を担当したのは
新素材研究所の現代美術作家・杉本博さんと建築家・榊田倫之さんのユニット。
「日本の伝統の技を現代に活かす」というコンセプトが
館内のあちこちに取り入れられています。

たとえば正面入り口の自動ドア。
二重になっている内側の扉は人間国宝の漆芸家室瀬和美さんによる総漆塗りです。
使われた漆は全て日本産、重さにして15キログラム!
ご本人が「一生分以上の漆を使った」とコメントしているという巨大な扉を見て
矢作さんが「杉本先生はあんまり予算のこととか考えないんですか」と質問していました。
山田さんいわく「わりかし考えない」んだそうです…
展示室の床には奈良の東大寺の瓦を焼いている職人さんにお願いしたタイル。
また低反射ガラス製展示ケースの前の壁を黒漆喰で塗ることでガラスの反射を抑え
中のものがクリアに見えるように工夫を凝らしてあったり。
特に野々村仁清作の国宝《色絵藤花文茶壺》は
四方を黒漆喰の壁に囲われた個室に入っています。
365度何処から見ても完成された形と絵付けの美しさを良く見せるために
テグスによる固定はせず、免震台に乗せているんだとか。


人間国宝・奥山峰石さんの鍛金作品 そして国宝・尾形光琳の《紅白梅図》が特別展示

番組の当日は
歌川広重の東海道五十三次(保永堂版)全55枚(53の宿場に日本橋と京師を加える)を
2年ぶりに一挙公開する「歌川広重 東海道五十三次」と
人間国宝(重要無形文化財「鍛金」保持者)奥山峰石さんの作品を展示する
「特集陳列 人間国宝 奥山峰石の仕事 一代一職」が開催されていました。
臨時休館のため、残念ながらどちらの展覧会も会期なかばで終わってしまいましたが…
この日はたまたま会場にいらしていた奥山さんが出演してくださいました。
奥山さんの作品は、金属板をひたすら叩いて形にする「鍛金」の技法で作られます。
その上に絵柄をあらわす「打込象嵌」は別の金属板を模様の形に切って貼りつけたものを
さらに叩いてめり込ませ一体化させるそうで、気の遠くなるような時間がかかります。
たとえば、2006年につくられた打込象嵌壺「枝垂桜」の制作期間はおよそ半年。
制作過程のことを思い出すので
「一点一点自分で見て歩くと疲れます」とのことでした。
奥山さんの作品はMOA美術館のオンラインショップ「The Kogei Shop」でも購入できます。
(2020年4月現在)

そして今回は番組10周年記念ということで、
いつもは年に一度、2月ごろに展示される尾形光琳の最高傑作
国宝《紅白梅図屏風》を特別に見せてもらえることになりました。
広重の五十三次を片付けて空にした所に屏風が台車で運ばれてくるところから
保存用の布袋を外して実際にケースの中に展示する様子をすべて目の前で。
金の背景に様式化された梅や流水が組み合わされた、
それだのに何故か写実的にもみえる屏風が開かれた瞬間は
テレビの前にいるわたしまで歓声を上げてしまいました。
出演者の皆さんが羨ましくなります。


前編で訪れた場所 來宮神社・MOA美術館 そして次回…

來宮神社(きのみやじんじゃ)

静岡県熱海市西山町43-1

社務所の開頭時間 9時~17時(ご祈祷の受付は16:30まで)
大楠のライトアップは17時~23時

公式ホームページ

MOA美術館

静岡県熱海市桃山町26-2

木曜休館(祝休日の場合は開館)
※最終入館は16:00まで
※4月23日(木)まで臨時休館

9時30分~16時30分
※入場は閉館の30分前まで
一般 1,600円(1,300円)
高校生・大学生 1,000円(700円)
中学生以下 無料
※( )内は10名以上の団体料金
※シニア割引(65歳以上) 1400円 証明できるものをご提示
※障がい者割引 800円 障がいのある方と付添者1名。証明できるのもをご提示

公式ホームページ

次回の「ぶらぶら美術・博物館」

後編では熱海の名建築「起雲閣」「海峯楼」の紹介、
そして「10周年記念ぶらぶら大回顧展」として
10年間を振りかえってそれぞれのベスト3を発表するようです。