原美術館「森村泰昌:エゴオブスクラ東京2020-さまよえるニッポンの私」 ところで私って何?

森村泰昌の凱旋展 レクチャーパフォーマンスは既に満席!

品川の原美術館は、2020年1月25日(土)から「森村泰昌:エゴオブスクラ東京2020-さまよえるニッポンの私」展を開催します。
森村泰明(1951~)は、
ゴッホになりきったセルフポートレート「肖像/ゴッホ」(1985)を発表して以来、主に
名画の登場人物、映画女優、歴史上の人物の姿で写真におさまった作品を発表している美術家です。
今回の展覧会は、2018年にニューヨークのジャパンソサエティーで開催された個展「Yasumasa Morimura: Ego Obscura」の凱旋展に位置付けられ、
ニューヨークの個展のために制作された「エゴオブスクラ」を再編集した「エゴオブスクラ(2019)」と、
作家本人が行うレクチャーパフォーマンスによって、日本近現代史・文化史にまで言及する試みだそうです。
(レクチャーパフォーマンスは各日満席のため予約受付終了)
長編映像作品「エゴオブスクラ」は森村自ら脚本を手掛け、
さらに昭和天皇、ダグラス・マッカーサー、三島由紀夫、マリリン・モンローなど
終戦~戦後のアイコンとして日本人の記憶に焼き付いている人々に扮して登場します。

戦前の教えが否定され日本人に広がった「空虚」、そこは西洋の価値観で埋められていきました。

森村展プレスリリースより

といわれるこの時代。その中で生まれ育った森村はやがて、

真理や価値や思想というものは、私の身体の外側にあって、それはまるで「衣服」のように、いくらでも自由に着替えることができるのだ。そのように捉えたほうが、私にはずっとよく理解できたのでした。

「エゴオブスクラ」より

という感慨を抱きました。
作品のタイトル「エゴオブスクラ(Ego Obscura)」とはこの中から発想されたもので
「闇に包まれた曖昧な自我」という意味を込めた言葉だそうです。

誰もが知っている人物になりきることで「私とはなにか」と問い続けている森村泰昌。
その作品を前にして、わたしたちは「この人物は誰か」「森村泰昌とは誰なのか」
そして「私とは何か」と考え、模索していくことになるでしょう。

参考までに…

  • 1945  8月 玉音放送
  • 1945  9月 ダグラス・マッカーサーと昭和天皇の初会談
  • 1951  6月 森村泰昌誕生
  • 1954  2月 マリリン・モンロー来日
  • 1970 11月 三島由紀夫割腹自殺(三島事件/楯の会事件)

展覧会情報 原美術館「森村泰昌:エゴオブスクラ東京2020―さまよえるニッポンの私」

レクチャーパフォーマンス「エゴオブスクラ東京2020バージョン」は
各日とも満席につき、予約受付を終了しています。

2020年1月25日(土)~7月12日(日)
3月28日から当面の間、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため休館
(再開後の鑑賞には予約が必要)

東京都品川区北品川 4-7-25

11時~17時 水曜のみ20時まで開館
※入館は閉館時刻の30分前まで

月曜休館(2月24日は開館し、25日休館)

一般1,100円 大高生700円 小中生500円
※原美術館メンバー無料 学期中の土曜日は小中高生の入館無料
※20名以上の団体は1人100円引

公式ホームページ https://www.haramuseum.or.jp/jp/hara/exhibition/842/

原美術館では、1994年と2001年に森村泰昌の展覧会を開催しており、
また1994年より常設作品「輪舞(ロンド)」が、館内のトイレだった場所(今でも使用可能とのこと)に設置されています。

また今回の展覧会では、マネの「オランピア」(1865)をもとにした初期の代表作「肖像(双子)」(1988)、
そこから更に発展させた作品「モデルンヌ・オランピア」(2018)、
さらに同じマネの傑作「フォリー=ベルジェールのバー」を題材にした最新作も登場するそうです。