『庭園美術館へようこそ―旧朝香宮邸をめぐる6つの物語』(アート・美術館のおすすめ本)

東京都庭園美術館をめぐるアンソロジー

港区白金台にある東京都庭園美術館は、
もとは皇族の朝香宮鳩彦王・允子夫妻が住居として建てた邸宅です。
1947年に朝香宮が皇籍離脱した後は
吉田茂の公邸、西武鉄道会社の迎賓館を経て
1981年に東京都が土地を買い取り(同時に建物の無償譲渡契約を締結)、
2年後の1983年に庭園美術館が開館しました。
2011年に改修工事・管理棟新設工事のため長期休館に入り、
2014年11月22日に改装して一部再開。
2018年3月21日に庭園やレストランも含めて全面的に再開しています。

個人の住居だったころから時間が経っているせいか、
それとも庶民の目に瀟洒なアールデコの館は「住居」としては非日常に見えるせいなのか
今行っても人が住んでいたような気配はあまり感じられないような気がします。

在りし日の朝香宮邸を描く 文章・マンガ・楽譜まで

この本では6人の文筆家やアーティストが、それぞれの手法で
かつての邸宅の姿やそこにいた人々の営みを再現しています。

朝吹真理子「かわらないもの」
 美術館の内覧ツアーに参加した著者が、
 建物の成り立ちから庭園美術館の歴史を振り返る。

福田里香「母と娘の、たてもの と たべもの」
 朝香宮家の次女・湛子女王(のちに大給湛子)の著書を引きながら
 食に関するエピソードを中心に女子目線で 朝香宮邸を 読み解く。

小林エリカ「はじまり」
 世界史・日本史・そして朝香宮邸の私的な歴史とを織りまぜて、
 朝香宮邸の「はじまり」がどこにあるのかを探る。

ほしよりこ「デジュネのまえに」(漫画)
 「きく子さん」と「きよ子さん」の姉妹が
 レコードの音に導かれて館の中にあるもう一つの世界を探検する。
 (実際には長女の紀久子女王は邸の完成前に嫁いでいたそうです)

mamoru「そして、すべては残響する」
 庭にある老木の来歴を追っていくことで、老木がたどった土地の歴史を再現する。

阿部海太郎「ピアノのための小組曲《三つの装飾》」(楽譜)
 「Ⅰ.香水塔」「Ⅱ.モザイク模様の昼下がり」「Ⅲ.楕円形の食卓」からなる
 邸内の装飾をテーマにした楽曲。

この本が出版されたのは2014年11月30日。
リニューアル記念として、一部再開にあわせた刊行でした。
それから5年と少し経った今、更に積み重ねられた歴史を感じるために
この本を持って美術館を散策してみるのも楽しいのではないでしょうか。

書籍情報

東京都庭園美術館協力
朝吹真理子,福田里香,小林エリカ,ほしよりこ,mamoru,阿部海太郎 著
『庭園美術館へようこそ―旧朝香宮邸をめぐる6つの物語』河出書房,2014

美術館情報 東京都庭園美術館

東京都品川区北品川 4-7-25

10:00-18:00 (入館は17:30まで)
庭園のみ公開の期間は、旧朝香宮邸(本館)と新館の入館不可
毎月第2・第4水曜日休館(祝日の場合は開館、翌日休館)、年末年始休館

入館料は展覧会によって異なる
※展覧会のチケットで庭園にも入場可

庭園入場料
一般 200円(160円)
大学生(専修・各種専門学校含む) 160円(120円)
中・高校生・65歳以上 100円(80円)
小学生以下および都内在住在学の中学生 無料
※( )内は20名以上の団体料金
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳を
 お持ちの方とその介護者2名は無料
※第3水曜日(シルバーデー)は65歳以上の方は無料
※親子ふれあいデー(毎月第3土曜日と続く日曜日「家族ふれあいの日」)は、
 18歳未満の子を同伴する都内在住の方2名まで、庭園の入場料金が半額

公式ホームページ https://www.teien-art-museum.ne.jp/