日曜美術館「被災した美術品を救え!~文化財レスキュー最前線~」

番組情報

放送日時 毎週日曜 午前9時~9時45分
(再放送は翌週日曜 午後8時~8時45分)
放送局 NHK(Eテレ)
司会 小野正嗣(作家) 柴田祐規子(NHKアナウンサー)

2020年1月26日の日曜美術館

「被災した美術品を救え!~文化財レスキュー最前線~」

去年、台風19号で多くの美術品が被災した。収蔵庫が浸水した川崎市市民ミュージアム、文化財の救出に当たる長野市立博物館を取材。文化財レスキューの最前線を見つめる。

日曜美術館ホームページより

ゲスト
 三輪嘉六(文化財保存支援機構理事長)
 村上博哉(国立西洋美術館副館長)

災害大国日本で文化財を守る わたし達にできることは?

美術品を保管するうえで気をつけなければならないものは沢山ありますが、
その中でも特に厄介なもののひとつは間違いなく水です。
紙や木でできたものが水にぬれるだけでも変色・変形などのおそれがあり
(水でぬれた紙を乾かすと、表面がヨレヨレになったりしますよね?)、
水分が残れば腐りやすくなったり、カビや虫を呼び寄せることになります。
貴重な資料を保管している美術館では
美術品を保管する収蔵庫と展示室の温度差による結露にも注意して、
消火にも水を使わない不活性ガスやハロゲン化物を用いた設備が推奨されるくらいです。

ところが2019年の10月に上陸した台風19号の影響で、
多くの美術品が水の被害を被ることになりました。

地下収蔵庫が浸水した川崎市市民ミュージアムでは
23万点の収蔵品が被災した上に密封された収蔵庫内でカビが発生し、
中で作業をする人の健康まで危ぶまれる状態だったそうです。

また長野県では地元のお寺などが被災したため、
そこで所有している仏像・掛軸・文書などの文化財が被害を受けました。
長野市立美術館では、これら被災資料の保全・修復作業を行っています。

ですが大災害で一度に大量の資料が被災すると修復には沢山の資金と時間が必要になります。
2011年3月の 東日本大震災で被災した美術品の修復はまだ半分も終わっていません。
台風19号で被災した美術品の修復にも、長い時間がかかるでしょう。
長い目で見れば地震や台風などの災害はいつか必ずおきるものですから、
これから来る災害への対処も必要になります。

貴重な美術品を守るために明日からできることとして、
ゲストの三輪先生は「日常的に関心を持つこと」を挙げていました。

文化財に限らず、物はただそこにあるだけで劣化していきます。
長い時間をかけて失われた物のごく一部が文化財や美術品として今に伝わっているわけで、
人間が「残そう」「伝えよう」と意識しなければどんどんなくなってしまうものです。
今ある貴重なものが失われないためには関心をもつことから。

わたしはまず、美術館や博物館に行く回数を増やしたいと思います(笑)

川崎市市民ミュージアム(休館中)

川崎市民および市内在住者を対象とした公募展「第 53 回 かわさき市美術展」は
会場と展示期間を変更して開催。
ミューザ川崎シンフォニーホール(川崎市幸区)4階企画展示室
2020年2月21日(金)~3月7日(土)9:30~17:00(2月28日は休み)
公式サイト https://www.kawasaki-museum.jp/

長野市立博物館

長野市小島田町1414(川中島古戦場史跡公園)
午前9時~午後4時30分 ※入場は閉館の30分前まで
常設展示室 入館料
 一般300円 高校生150円 小中学生100円
 (20人以上は団体割引:一般240円 高校生120円 小中学生80円)
休館日
月曜日(祝休日と重なる場合はその翌日)
 7月の第2週5日間(月~金曜日)館内消毒
 12月29日~1月3日年末年始
公式サイト https://www.city.nagano.nagano.jp/museum/