「上村松園 松篁 淳之 三代展」を開催 近現代を代表する美人画と花鳥画の共演

東京富士美術館「上村松園 松篁 淳之 三代展」

2020年2月29日(土)~4月12日(日)
当面の間、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため臨時休館

東京都八王子市谷野町492-1

10:00~17:00 ※入場は閉館の30分前まで

大人 1,300円(1,000円) 大高生 800円(700円)
中小生 400円(300円) 未就学児 無料
※( )内は20名以上の団体・65歳以上・富士美術館のメルマガ登録者ほか
※土曜日は中小生無料
※障がい児者、付添者1名は半額(証明書の提示が必要)

月曜休館(祝日の場合は開館。翌火曜日は振替休館)

公式サイト

東京富士美術館では、2020年2月29日から4月12日まで
「上村松園 松篁 淳之 三代展」を開催します。
近代随一と言われる美人画家上村松園(1875-1949)、
松園の息子であり近代的な花鳥画を描いた上村松篁(1902-2001)、
松篁の息子でやはり花鳥画を専門とし、愛鳥家としても知られる上村淳之(1933-)と、
三代にわたる作品が公開されます。
上村家三代の作品を収蔵・展示する松伯美術館
(奈良県奈良市 館長は上村淳之)のコレクションを中心に、
日本画家三代の系譜をたどる贅沢な展覧会です。

チラシに使われているのは松園の「鼓の音」(1940)。
松園自身、絵の修行の一環として鼓・琴・謡・舞などを習っていたそうです。

松園二大異色作のひとつ?「花がたみ」

「鼓の音」がいかにも松園らしいきりっとした女性を描いているのに対して、
予告チラシに使われている「花がたみ」(1915)は、ちょっと異質な感じがします。
お公家さん風の装束をまとった女性ですが、
表衣は半ば肩からずり落ちて腕に引っかかっている状態。
下着の単衣も襟がヨレヨレになっていて、
足元には壊れた扇が転がっています。
表情もなんとなく歪んで虚ろ。
彼女は世阿弥の謡曲「花筐」の登場人物で、照日の前といいます。
継体天皇(在位 507-531)が即位前に寵愛した女性でした。
天皇が紅葉を見に出かけた先に、その照日の前が狂女の姿で現れる場面。
松園はこれを描くために、
当時京都の岩倉にあった精神病院に通って患者の顔を写生したそうです。
登場人物が苦しい内面をさらけ出す姿は
六条御息所「焔」(1918 東京国立博物館所蔵)とともに
松園の作品の中でも珍しいものです。

松篁・淳之の花鳥画

チラシを見てもわかるように展覧会のメインは松園とその作品なのですが、
近現代の花鳥画を代表する松篁・淳之の作品も外すわけには行きません。

上村松篁は19歳で帝展に初入選するなど早くから評価された画家ですが、
終戦後に日展を離脱し、
「世界性に立脚する日本絵画の創造」を目指す日本画団体「創造美術」を結成しています。
伝統的な花鳥画を下敷きに、色彩豊かでどこかモダンな雰囲気の作品で
花鳥画の新たな境地を開拓しました。
今回展示される「万葉の春」(1970)のような美人画や子どもを題材にした作品など
人物画も残しています。

上村淳之は一時建築家を目指しており、
日本画の道に進むときは両親から大反対を受けたといいます。
はじめから「日本画」を学んでいた父・祖母とは異なり西洋風の絵画教育を受けたことで
西洋画の三次元的な空間と日本画の象徴的空間の存在を意識することになり
以後それを追求したそうですが、
素人の目から見ると「すごく可愛い絵を描く人」です。
松篁の描く鳥獣が近づくと逃げるか威嚇してきそうなのに対して、
こちらの鳥や動物は挨拶くらいなら許してくれそうな穏やかさと距離の近さがあります。
父親が描くために飼っていた小鳥の世話をしたことにはじまって、
20歳頃には様々な鳥の飼育から繁殖まで手がけていたことが影響しているのかも知れません。

三代展というよりも

2009年に開催された三代展の図録(読売新聞大阪本社,2009)を見返して思ったのですが、
並べてみると同じ系譜に連なる「三代展」というより
わが道を進む日本画家たちの「三人展」と言いたいような趣があります。
それぞれに個性的な三人による共演、なんだかわくわくしてきます。