「竹内栖鳳《班猫》とアニマルパラダイス」山種美術館所蔵の猫の絵が4年ぶりの展示

現在休館中の山種美術館ですが、再開を心待ちにしている人は多いことでしょう。
何と言っても竹内栖鳳の《班猫》が4年ぶりに登場し、
ほかにも動物画の名品が勢ぞろいする展覧会が開催されるのですから。
山種美術館では2020年度の展覧会の会期を変更して2020年9月19日から
「【特別展】竹内栖鳳《班猫》とアニマルパラダイス」を開催するそうです。
近代日本画が生み出した動物たちに、何の心配もなく会いに行ける日が楽しみですね。

博物館・美術館・図書館の休業要請緩和までの流れ

2020年5月15日、東京都の小池百合子知事は「新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ」を発表しました。
緊急事態宣言が解除された後、1週間の平均で
新たな感染の確認が1日あたり20人未満、
感染経路が分からない人の割合が1日あたり50%未満、
さらに感染した人の週単位の増加比率が前の週より低い場合、
専門家の意見も聞くなどして段階的に緩和していくとのことです。
全面緩和までのステップは3段階に分かれ、
博物館・美術館・図書館といった施設は「ステップ1」で休業要請を緩和されます。

緩和から実際の再開までは時間が開くと思いますが、
元の予定では5月16日からだった「竹内栖鳳《班猫》とアニマルパラダイス」の開催が
現実的になったようで、ファンとしては嬉しい限りです。


「竹内栖鳳《班猫》とアニマルパラダイス」(山種美術館)

2020年9月19日(土)~11月15日(日)

月曜休館

東京都渋谷区広尾3-12-36

10時~17時 ※入場は閉館の30分前まで

一般 1,300円(1,100円)
大高生 1,000円(900円)
中学生以下 無料
※( )内は★名以上の団体および前売り料金
※障がい者手帳、被爆者健康手帳の提示で、本人およびその介助者(1名)団体割引料金
※きもの割引:きものを着ている人は団体割引料金
※リピーター割引:使用済み入場券(有料)の提出で団体割引料金
(同一の展覧会のみ有効)

公式ウェブサイト


竹内栖鳳と動物画

竹内栖鳳(1864-1942)は、戦前の京都画壇を代表する大家です。
円山・四条派をもとに狩野派や西洋画の技法を取り入れた作風で知られ、
近代日本画の革新運動のなかで大きな役割を果たしています。

娘婿でもある西山翠嶂(1879-1959)をはじめ、上村松園(1875-1949)、
西村五雲(1877-1938)、橋本関雪(1883-1954)、土田麦僊(1887-1936)など
京都画壇を代表する画家の多くが栖鳳の画塾「竹杖会」の出身でした。

京都画壇は円山応挙(1733-1795)にはじまる円山・四条派の流れをくみ、
実物を観察して写生することを重視していました。
栖鳳も弟子たちに対して
「画家は一日一枚は必ず写生の筆をとらなくてはいけない」と言っていたそうです。

日本の動物画は花鳥画とくらべて歴史が浅く、
写生を重視して実在の動物を画題とする「動物画」は応挙にはじまると言われていますが、
その円山派でも実際に見たことのない象や獅子などを描く時は
伝統的な描き方に頼ることが多かったようです。

明治になって写真や動物園などが取り入れられ
(京都市動物園は上野動物園に次ぐ日本で2番目の動物園として1903年に開園)
馴染みのない動物のリアルな姿に接することができるようになると
動物画は大きく進歩を遂げ、名手と呼ばれる画家も登場するようになりました。
「動物を描けば、その匂いまで描く」といわれた栖鳳もそのひとりです。
写生の伝統、西洋写実主義の取り入れ、近代日本の環境と、
どれかひとつでも欠けていたら、栖鳳は動物画の達人と呼ばれていなかったかもしれませんね。


重要文化財《班猫》(はんびょう 1924)

山種美術館のTwitterでもおなじみの《班猫》は、
栖鳳が静岡県沼津に滞在していた時、近所の八百屋で買われていた猫でした。
絵心をかき立てられた栖鳳は八百屋のおかみさんに交渉して譲ってもらい、
画室で自由に遊ばせながら猫の姿を観察して作品を仕上げたそうです。

タイトルの《班猫》は栖鳳の箱書きに従ったものです。
まだら模様を表現する漢字は「ぶち」とも読む「斑」の字を使うのが普通ですが、
「班」にも「まだら」の意味はあるので、山種美術館では《班猫》としているのだとか。

個人的には「斑猫」だと甲虫のハンミョウを連想するので、
「班」の字の方が良いと思うのですが。


ステイホームのためのオンラインコンテンツ

山種美術館では臨時休館中に
〜ステイホームを豊かに〜 山種美術館の作品が楽しめるコンテンツ「おうちで日本画」
と題して、自宅で楽しめるオンラインコンテンツの配信を始めました。

現在利用できるものは、以下の通りです。

  • 図録(全15冊)の通信販売
    臨時休館中に限り、2,000円以上の購入で送料無料
  • オンライン会議用背景
    速水御舟《名樹散椿》【重要文化財】(部分)
    川端龍子《鳴門》(部分)
    川合玉堂《山雨一過》(部分)
    鈴木其一《四季花鳥図》 の4点
  • ぬり絵のダウンロードサービス
    山種美術館が所蔵する、田能村直入《百花》(部分)

5月23日(土)17時より、山種美術館のinstagram
お笑い芸人でアートテラーとしても活躍中のとに~氏が24時間かけて
特大サイズの《百花》ぬり絵に挑戦する
「山種美術館×アートテラー・とに~ おうちで巨大塗り絵チャレンジ」
の動画が配信されます。

またGoogle Arts & Cultureではコレクションの一部とミュージアムビューを見ることができます。
ミュージアムビューで公開されているのは
2013年の特別展「小林古径生誕130年記念 古径と土牛」(2013年10月22日~12月23日)。
会期半ばで中止となった「桜 さくら SAKURA 2020―美術館でお花見!―」で展示された
奥村土牛の《醍醐》(1972)は、こちらの会場にも展示されていました。