2年ぶりの「美術館でお花見!」 山種美術館にて桜の日本画約50点展示

山種美術館の「桜 さくら SAKURA 2020―美術館でお花見!」は
4月4日からの臨時休業にともない中断していましたが、
7月18日から再開することが決まりました。
初代館長である山崎種二の依頼で制作された橋本明治の「朝陽桜」、
奥村土牛が柔らかい色彩で桜の名所を描く「醍醐」「吉野」などおよそ50点。
多種多様な桜の絵が作りだす世界が戻ってきます。

「桜 さくら SAKURA 2020―美術館でお花見!―」山種美術館

2020年3月14日(土)〜5月10日(日)(4月4日から臨時休業)

再開後の会期 7月18日(土)~9月13日(日)

東京都渋谷区広尾3-12-36

午前10時〜午後5時 (入館は午後4時30分まで)

一般1,300円(1,100円)・大高生1,000円(900円)・中学生以下無料
※( )内は20名以上の団体料金
※障がい者手帳、被爆者健康手帳をご提示の方、およびその介助者(1名)は無料

きもの割引:会期中、和服を着ていくと団体割引に
リピーター割引:同展使用済み入場券で会期中の入館料が団体割引に(1枚につき1名1回限り)
※複数の割引の併用は不可

ぐるっとパス対象施設(一般料金の200円引き)

月曜休館(ただし5月4日(月)、5日(火)、6日(水)は開館、5月7日(木)は休館)

公式サイト

キーヴィジュアルは橋本明治の《朝陽桜》

ポスターに使われている満開の桜は
橋本明治(1904-1991)の《朝陽桜》(1970)。
1968年に皇居新宮殿が完成したとき
日本画壇を代表する画家たちが装飾を手がけました。
山種美術館の初代館長である山崎種二は
優れた美術品をより多くの人たちに見てもらうことを願い
画家たちに同じ趣向の作品制作を依頼。
それをうけて橋本が描いたのが現在美術館に所蔵されている《朝陽桜》です。

山種美術館には同じ経緯で描かれた
安田靫彦、山口蓬春、上村松篁、東山魁夷、杉山寧などの
作品も所蔵されています。

日本三大桜のひとつ、三春滝桜を描いた作品で、
画像では分かり難いかもしれませんが、枝垂桜です。
(全体を見ると、枝が下向きについているのが分かります)
樹齢千年を超える名木の姿を映すために橋本は
まず冬に葉の落ちた枝の形を写生し、
数か月後に満開の花を写生したそうです。

立体感のある花びらは、胡粉を分厚く塗り重ねて盛り上げたものです。

桜の名所を絵でめぐる? 奥村土牛の《醍醐》と《吉野》

日本にはいくつもの名桜や桜の名所がありまして
それを主題にした日本画も数えきれないほどありますが、
奥村土牛(1889-1990)が描いた《醍醐》(1972)も有名です。

白い壁とその前に立つ枝垂れ桜の大木を描いたこの作品は
京都の醍醐寺三宝院にある大枝垂桜がモデル。
豊臣秀吉がこの地で催した「醍醐の花見」にちなんで
「太閤枝垂れ」とも呼ばれるこの桜と奥村の出会いは1963年のことで
それから約10年がかりで完成したそうです。

「醍醐」の5年後に完成した《吉野》(1977)も同じく桜の名所がテーマの作品。
こちらは花盛りの山桜と連なる山並みを描いたもので、
山にも花が咲いているのか白や桃色の霞がかかって見えます。

2作品に共通の柔らかな色彩は、ごく薄い色を百回も二百回も塗り重ねて作るのだとか。

多種多様な「桜」の世界

展覧会では日本人の美意識や文化と結びついた桜に注目して
風俗、名所、物語などさまざまな主題の「桜」を
画家自身の言葉とあわせて紹介するとか。

画家たちがそれぞれの切り口から、それぞれの表現で描く桜。
美術館のお花見では、多種多様な桜の世界を楽しめそうです。