青帛の仙女 上村松園の作品18点が山種美術館で公開

山種美術館 広尾開館10周年記念特別展
上村松園と美人画の世界展

東京都広尾の山種美術館は2020年1月3日から、
日本画家・上村松園(1875-1949)の作品を中心とした美人画の展覧会を開催します。

2020年1月3日(金)~3月1日(日)
月曜休館(祝祭日は開館。翌火曜日休館)

午前10時〜午後5時 (入館は午後4時30分まで)

一般1200円(1000円)・大高生900円(800円)・中学生以下無料

※( )内は20名以上の団体料金および前売料金
※障がい者手帳、被爆者健康手帳提示の場合、本人およびその介助者(1名)は無料

きもの割引:会期中、和服を着ていくと団体割引に
リピーター割引:同展使用済み入場券(有料)を提出すると
 会期中の入館料が団体割引料金(1枚につき1名1回限り有効)

※複数の割引の併用は不可

山種美術館所蔵の松園の作品18点が全て公開されるのはおよそ3年ぶりだとか。

上村松園とは

上村松園は明治から昭和にかけて活動した女性の日本画家。近代画壇を代表する美人画の名手として知られています。
明治維新から間もない京都の下町に生まれ育ち、京都府画学校に入学。
その後鈴木松年、のち幸野楳嶺、竹内栖鳳に師事しながら
寺社・博物館の所蔵する美術品や展覧会などを見て回り、模写や縮図をしたといいます。
花鳥風月の世界が中心だった京都画壇には美人画の手本が少なかったためだそうですが、
このような研鑽が「松園の前に松園なく、松園の後に松園なし」(河北倫明)と言われた独自の画風を育て、
1948年、女性として初めて文化勲章を受章しています。

息子である上村松篁(1902-2001)、孫の上村淳之(1933-)も日本画家(花鳥画)で、
2020年2月19日からは東京富士美術館で三代展が開催されます。

ポスターやチラシに使われている「春のよそをひ」(1936)は松園60歳頃の作品。
このような江戸期・明治期の女性のふとした仕種をとらえた作品は松園の十八番でした。
これらの女性たちはいわば作者の理想像を形にしたもので、

「一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵こそ私の念願とするところのものである。
 その絵を見ていると邪念の起こらない、またよこしまな心をもっている人でも、その絵に感化されて邪念が清められる……といった絵こそ私の願うところのものである。」

「棲霞軒雑記」『青眉抄』初出1943

という言葉のとおり、見ていて何となく背筋が伸びるような品の良さがあります。

着物の柄・髪飾りといった細かい部分まで手を抜かずに描き込まれた衣装や
一筋一筋描き込まれた柔らかそうな髪の毛の表現も見どころの一つ。
帯の結び方や髪の結い方までイメージして描いたに違いないと思わせるリアリティは
写生の技術に加え、日常で和服や日本髪に触れ、身に纏っていた人ならではのものでしょう。

さらに山種美術館所蔵の美人画が出品

松園と同時代に活躍した美人画家の鏑木清方(1878-1972)の「伽羅」
(2019年末、東京国立近代美術館に「鏑木清方 幻の《築地明石町》特別公開」を見に行った方も多いことでしょう。ちなみに私は行けませんでした…)

仏教思想を織りこんだ幻想的な作風で知られる村上華岳(1888-1939)の「裸婦図」など、
日本画ファンなら既に知っているかもしれない、
けれどもやっぱり一度は見てみたい名品が展示されます。

新年のおでかけに、美人画鑑賞はいかがでしょうか?