ぶらぶら美術・博物館、終了 ー 最終回は国立西洋美術館の常設展へ(Tver・YouTubeもチェック!)

いまだに信じたくないのですが、ぶらぶら美術・博物館が終わってしまいました。
突然すぎて視聴者どころか出演者もびっくりの幕切れでしたが、9月27日の最終回は13年の締めくくりにふさわしい名作揃い。
遅まきながら、振り返ってみたいと思います。

ぶらぶら美術・博物館の終了

2023年の4月、ぶらぶら美術・博物館の放送時間が火曜夜8時から水曜夜10時に変更された辺りで、聡い人は嫌な予感がしていたかも知れません。
わたしは放送時間の変更には何も思わず、ただ「最近再放送が多いなあ」と不満を燻らせていた方ですが、今思うとあの辺りが別れ道だったかも?
そしてSNSによる最終回のお知らせ、2023年9月27日に番組内でも終了の挨拶があり、ぶらぶら美術・博物館は13年と半年(全447回)の歴史に幕を下ろしました。

ぶらぶら美術・博物館の初オンエアは、2010年4月6日。
横浜美術館の「古代ローマの世界遺産 ポンペイ展」が最初の訪問先でした。
博覧強記の山田五郎さんがゲストの専門家と一緒に初心者を導く教育番組風の構成ながら、山田さんのユーモアある語り口や生徒役のおぎやはぎさん・高橋マリ子さん(相沢紗世さんに変わって2014年1月17日から登板)のキャラクターで、ミュージアムを楽しみながら気が付けば知識も深まっていく素敵な時間を過ごすことができました。


ぶらぶら美術・博物館の最終回
「西洋絵画史まるわかり!国立西洋美術館ベストセレクション ― モネ、ドガ、ルーベンスの傑作ずらり!西洋絵画の変遷を名画とともに徹底解説」

最終回のぶらぶら先は、国立西洋美術館(西美)の常設展。
ぶら美チームの訪問は2011年1月18日の「名画の殿堂!上野・国立西洋美術館 ー モネ・ロダン 世界的名作ずらり 日本一のコレクションに迫る!」以来12年ぶりだそうで(わたしはその頃まだ視聴者ではありませんでした…)その間に増えた収蔵品も有ります。

常設展では、西美にあるおよそ600点の収蔵品のうち200点ほどが展示されています。
ぶらぶら美術・博物館の最終回は、主任研究員の川瀬佑介さん・袴田紘代さんの案内で、古典から近代に至る西洋美術の歴史を追いました。

紹介された西美の収蔵作品は以下の通りです。
(作品のリンクは国立西洋美術館ホームページの所蔵品紹介に繋がります)

ルネサンスからマニエリスム

アンドレア・デル・サルト《聖母子》1516
ルネサンスとマニエリスムの橋渡し役となった重要な画家の作品

エル・グレコ《十字架のキリスト》

山田さんいわく「日本に2枚しかないエル・グレコ」の1枚

バロック

カルロ・ドルチ《悲しみの聖母》1655頃
ドラマティック・分かりやすさ・明暗・豪華絢爛と、バロックの特徴を余すところなく伝えるマリアの肖像

フランシスコ・デ・スルバラン《聖ドミニクス》1626-27
足元の犬が咥える松明が(火は聖人の背後に隠れています)バックライトの効果で空間に奥行きを添える、等身大の迫力ある聖人像

ペーテル・パウル・ルーベンス《眠る二人の子ども》1612-13頃
工房製ではなくルーベンス本人がすべて手がけた可能性が高い、スケッチ的小品

静物画(ボデゴン)

フアン・バン・デル・アメン《果物籠と猟鳥のある静物》
スペイン静物画の第二世代による、第一世代サンチェス・コターンの様式を引き継ぎつつより豪華に発展させた食物の絵
ボデゴンはスペイン語の「ボデガ(酒蔵)」に由来

19世紀フランスの芸術ムーヴメント

ギュスターヴ・クールベ《罠にかかった狐》1860
伝統的な狩猟画(王侯貴族によるスポーツの記録)に喧嘩を売るが如く、密猟の罠にかかった獲物の足掻きと苦しみを描くリアリズムの作品

エドガー・ドガ《舞台袖の3人の踊り子》1880-85頃
舞台袖で女の子を物色するパトロン(エロ親父)をさらに覗き見る「覗きの視線」に注目

クロード・モネ《雪のアルジャントゥイユ》1875
曇り空のグレーや雪の白に潜む様々なニュアンスを留める、これぞ印象派という作品

クロード・モネ《睡蓮》1916
山田さんによれば「いい塩梅で、いい保存状態でのいい睡蓮」
二百何十枚あるモネの《睡蓮》の中でも白眉の1枚

国立西洋美術館が出来た年の記念的作品

ル・コルビュジエ《牡牛XVIII》1959
ル・コルビュジエのコレクションを所有する大成建設株式会社による寄託作品(国立西洋美術館HPにはデータなし)
西美が出来た年に描かれ、絵の中に見られる「直交する直線とそれに重なる三角形」は展示室入口の「19世紀ホール」の吹き抜け天井でも確認できる


ぶらぶら美術・博物館を見逃した時は? Tverは10月26日まで!YouTubeも要チェック

最終回を見逃してしまった! と悲しい思いをしている人もいるかも知れません。
しかし、あるかも知れない再放送を待つ必要は「まだ」有りません。
(再放送はあって欲しいですが、それはそれとして…)

ぶらぶら美術・博物館の最終回は、TVer(ティーバー)で2023年10月26日(木)の23時59分まで配信中です。

また、ぶらぶら美術・博物館公式YouTubeもまだ稼働しています。
(2023年10月20日現在)
こちらは番組の全体を見ることはできませんが、予告編とYouTube限定の短い動画を見ることができます。

山田五郎さんの美術トークが聞けなくなって寂しい思いをしている方には、ぶら美とは関係ありませんが YouTube「山田五郎 オトナの教養講座」もおすすめです。

そして「ぶらぶら美術・博物館」は終了してしまいましたが、美術館や博物館は変わらずわたしたちを迎えてくれます。
まずはぶら美最終回の絵画たちを訪ねて、国立西洋美術館に出かけるのは如何でしょう?
展示替えもありますので、どうぞお早めに!


国立西洋美術館(常設展)

東京都台東区上野公園7-7

9時30分〜17時30分 (金・土曜日は20時まで)
※入室は閉室の30分前まで

月曜休館 (祝日・休日は開館し、翌平日が休館)
年末年始休館(12月28日〜1月1日)

一般 500円
大学生 250円
高校生・18歳未満・65歳以上 無料
障害者手帳等の提示で本人と付添者1名まで無料

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