1年を通しての行き先49か所・鑑賞作品478点と、
例年にくらべると数が少なかったぶらぶら美術館。
2020年の最後は山種美術館で昭和を代表する
日本画の巨匠・東山魁夷の作品を鑑賞しました。
出演者それぞれが今年のベスト5を選ぶ年末恒例のぶらぶら大回顧展も。
2020年12月22日のぶらぶら美術館
年末恒例!ぶらぶら大回顧と山種美術館「東山魁夷」展
〜2020年のベスト5と、名画で味わう京都の四季〜
放送日時 12月22日(火) 午後8時~9時
放送局 日本テレビ(BS日テレ)
出演者
山田五郎 (評論家)
小木博明 (お笑いコンビ・おぎやはぎ ボケ)
矢作 兼 (お笑いコンビ・おぎやはぎ ツッコミ)
高橋マリ子 (モデル・女優)
山崎妙子 (山種美術館館長)
2020年のぶらぶら締めくくりは、恵比寿の山種美術館からスタート。昭和に活躍した日本画の巨匠・東山魁夷が、作家で盟友の川端康成に勧められ、古き良き京都の風景を残した連作「京洛四季」。山種美術館所蔵のその4点が、4年ぶりに一挙公開!中でも、大晦日の雪降る京町屋の風情を描いた名作「年暮る」は、”東山ブルー” と称された美しい群青のグラデーションが見事。年の瀬にぴったりの作品で、過ぎゆく年へ思いを馳せます。
そして一行は、バカラのクリスマス・イルミネーションでも知られる恵比寿ガーデンプレイスへ移動し、恒例の大回顧展を開催!春先から始まった新型コロナウイルス感染症の流行が、美術業界にも大きな影響を与えた2020年。ぶらぶらメンバーが選んだ今年のベスト5には、どんな変化があったのでしょうか? 皆さんもご一緒に今年を振り返りながらお楽しみください。(ぶらぶら美術館ホームページより)
山種美術館
東山魁夷の《満ち来る潮》そして連作《京洛四季》
山種美術館の山崎妙子館長(創立者である山崎種二のお孫さんにあたります)は、
東山魁夷(1908-1999)のことを「穏やかな人」と語っています。
魁夷の風景画はその人となりを表すかのように優しい雰囲気のものが多く、
展覧会のキーヴィジュアルでもある 《満ち来る潮》(1970)も
海から顔を出した岩と打ち寄せる波を描いた横幅9mの大作でありながら
何故か静かで穏やかな印象を受けます。
《満ち来る潮》は皇居宮殿「波の間」に描かれた魁夷の壁画
《朝明けの潮》(1968)に感動した山崎種二が
一般の人々にも見られるようにと
同じ趣向の作品を依頼して描かれました。
描かれている場所は山口県長門市にある青海島の岩礁「瀬叢」です。
もう一つの目玉である「京洛四季」の連作は、
作家の川端康成(1899-1972)から
「京都は今描いといていただかないとなくなります」と
言われたことがきっかけで誕生しました。
《春静》(1968)は鷹峯の山に桜が咲く様子を、
《緑潤う》(1976)は修学院離宮の池に映る緑、
《秋彩》(1986)は小倉山の紅葉、
《年暮る》(1968)は旧京都ホテル(ホテルオークラ京都)の屋上から見た
町家の屋根が連なる様子と、
京都の四季の風物をとらえた作品です。
そろって展示されるのは4年ぶりとのこと。
およそ50年前の、失われた風景が蘇ります。
「東山魁夷と四季の日本画」山種美術館
東京都渋谷区広尾3-12-36
2020年11月21日(土)~2021年1月24日(日)
月曜休館
※1月12日(火)は休館
※年末年始(12月28日~1月2日)休館
平日 10時~16時
土日祝日 10時~17時
※入場は閉館の30分前まで
一般 1,300円
大学生・高校生 1,000円
中学生以下無料(付添者の同伴が必要)
障がい者手帳・被爆者健康手帳をご提示の方、その介助者1名まで
1,100円(大学生・高校生900円)
ぶら美出演者が選ぶ2020年BEST5
今年ならではの選択基準にも注目
年末恒例の「ぶらぶら大回顧」は
ビヤステーション恵比寿の2階を借り切って行われました
小木博明さんの2020年BEST5
- ブルートレインのヘッドマーク
- ヴュイヤール《赤いスカーフの子ども》
- 神田日勝《室内風景》
- 「ダブルファンタジー」ジャケット写真
- 首都圏外郭放水路(地下神殿)
今年は病気で入院もした小木さん。
5作品を選ぶために改めて今年見た作品を振りかえると、
「画家が見たこども展」では「誘拐犯と子ども」説が有力だった
《赤いスカーフの子ども》がクリスマスシーズンのいまは
「楽しい親子のお出かけ」に見えるなど
また違った雰囲気に見えてきたりもしたそうです。
高橋マリ子さんの2020年BEST5
- 国宝 観音菩薩立像(百済観音)7世紀
- ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー《ポリュフェモスを嘲るオデュッセウス》1829
- ジョン・レノン「イマジン」直筆の歌詞
- ジャコメッティ《矢内原》
- 国宝 七支刀
高橋さんの今年の作品は、
「ジャコメッティ 最後の肖像」(2017)
「ターナー、光に愛を求めて」(2014)といった
家で鑑賞した映画に関連する作品や、
物部氏に嵌っていたときに近くを訪れていたにもかかわらず
見逃してしまった七支刀と、
体験に繋がる作品を中心としたチョイスになりました。
矢作兼さんの2020年BEST5
- 「KING&QUEEN展」(上野の森美術館で2021年1月11日まで)
- イリヤ・レーピン《イワン雷帝とその息子》1885
- 起雲閣(熱海)
- ジョアン・ミロ《花と蝶》1922-23
- エリー・ドローネー《ローマのペスト》1869
夢の特別展第2弾、中野京子先生が選ぶ「もうひとつの怖い絵展」からは
父親が息子を殺してしまった瞬間を描いた《イワン雷帝とその息子》、
新型コロナウイルスが蔓延する現代とも通じる《ローマのペスト》2作品、
同じく中野先生が解説をしてくれた「KING&QUEEN展」(12月1日に放送)は
まさかの展覧会全体がランクイン。
矢作さんのベスト5は過半数が中野先生推薦という結果になりました。
山田五郎さんの2020年BEST5
- カルロ・クリヴェッリ《聖エミディウスを伴う受胎告知》1486
- ヴィルヘルム・ハマスホイ《室内―開いた扉、ストランゲーゼ30番地》1905
- チョントヴァーリ・コストカ・ティヴァダル《アテネの新月の夜、馬車での散策》1904
- アルフレド・ミュラー《ピクニック》1903
- 富士屋ホテル(箱根)
山田さんの今年の5作品は「知らなかった新発見」というテーマがあるそうです。
開かずの間が存在した富士屋ホテルから
科学的な整合性を求めた結果(?)
あらかじめ壁に神秘の光を通すための穴が空いている
《聖エミディウスを伴う受胎告知》など面白い発見があった一方、
扉の枠の歪みが不吉な雰囲気を醸し出している…と思ったら
ただの経年劣化だったという《室内―開いた扉、ストランゲーゼ30番地》という
ちょっと残念な発見もあったようです。