京セラ美術館の公式図録『上村松園』全国書店で販売中　YouTubeとあわせて2倍楽しい！？

京都市京セラ美術館で2021年9月12日まで開催される「上村松園」展。
わたしも今年の夏休みに…と楽しみにしていたのですが
現在の状況では難しく、諦めて図録だけ購入することにしました。
こちらの図録は、京都の会場まで行かなくても
全国の書店で購入することができます。

書店で買える展覧会図録のこと

少し前まで展覧会の図録といえば、
発行部数が少なく、販売する場所も会場のみ。
一般の書店では取り扱いがなく、
展覧会の会期が終われば古書店かオークションで探すしかないものでした。
（出版物の分類では「書籍」ではなく「カタログ」や「パンフレット」に相当）

今でもほとんどの図録はそうだと思いますが、
規模が大きく集客（つまり図録の需要）が見込める展覧会の場合は、
美術館が出版社に依頼して制作するやり方も増えてきています。
この場合、美術館など展覧会を運営する側は、
出版社から一定の冊数を買い取って、会場で販売するわけです。

全国の書店（特に大型書店）でも「美術書」の扱いで販売されるため、
遠方で会場に行けない人や
会場から重たい図録を持って帰るのが難しい人にとっては大助かりです。
（用事がある、荷物が多いなど…図録を持って歩きたくない状況ってありますよね？）
大規模な展覧会・遠方の展覧会は避けたいけれど
せめて図録は欲しい、という最近よくある悩みも解決してくれる
有り難いシステムと言えるでしょう。

図録「上村松園」（京都市京セラ美術館）の出版社である青幻舎は
現代美術・写真集などのアートブックが専門の出版社で、過去にも
松柏美術館監修『上村松園‐小さな美術館（ポストカードブック）』2006
平野重光監修『上村松園画集』2009
の松園作品集を手がけています。

京都市京セラ美術館開館一周年記念展公式図録
『上村松園』青幻舎，2021　（税込 2,750円）

デビュー作《四季美人図》（1892）から絶筆となった《初夏の夕》（1949）まで、
上村松園の作品110点（うち4点は参考作品）を収録し、

修行（1887～1902）
出発（1903～1912）
模索（1913～1926）
確立（1927～1938）
円熟（1939～1949）

の5つの時期に分けて紹介し、松園の画業を振り返る構成です。
図録のカバー表は《晩秋》（1943）、
裏は《わか葉》（1940）と、どちらも「円熟期」の作品が採用されていました。

時代順に並べられた作品を見くらべていると
素人の目から見ても初期のころは人の顔立ちなどが安定しておらず、
色々な技法をとりいれながら試行錯誤していた様子が伝わって来るようです。