日曜美術館「マネ 最後の傑作の秘密~フォリー=ベルジェールのバー~」(再放送)

番組情報

放送日時 毎週日曜 午前9時~9時45分
(再放送は翌週日曜 午後8時~8時45分)
放送局 NHK(Eテレ)
司会 小野正嗣(作家) 柴田祐規子(NHKアナウンサー)

2020年1月12日の日曜美術館

「マネ 最後の傑作の秘密~フォリー=ベルジェールのバー~」
(2019年10月13日の再放送です)

マネの「白鳥の歌」とされる最後の傑作「フォリー=ベルジェールのバー」よく見ると鏡に写った光景で、しかもいくつもの矛盾に満ちている。なぜ?仕掛けられた謎を解く。

日曜美術館ホームページより

ゲスト
 三浦篤 (東京大学教授)

フォリー=ベルジェールのバー あなたならどう見る?

「白鳥の歌」(白鳥は死の間際にだけ美しい歌をうたうという伝承から、最後の作品のこと)の例えどおり、作者のエドゥアール・マネが死の前年、病に苦しみながら描いた絵です。

色々な画集や図録に引用されている有名な絵なので存在は知っていましたが
正直に言うとそこまで凄い絵だと思っていませんでした。
ですが、東京の展覧会で初めて本物を見た時は完全に圧倒されたのを覚えています。

この絵がもっている独特の雰囲気に呑まれたのかも知れませんし、
思ったよりサイズが大きかったせいかもしれません。

絵の中心となるのはミュージックホール「フォリー=ベルジェール」で客に飲み物を提供する「バーメイド」と呼ばれる女性(娼婦でもあったとか)。
その後ろに大きな鏡があって、ミュージックホールのにぎやかな様子が映っている…

ところが、カウンター上の酒瓶の位置・大きさ・さらには本数が違っているし、
客のいる桟敷席の位置は実際に映るはずの場所よりずっと下に配置されている。
もっとも不思議なのは、鏡に映っているはずの女性の後ろ姿が実際に映るはずの位置よりも右にずれていること。
現実にはあり得ないはずの光景を現実的に描いたこの絵は、発表当初から見る人を困惑させたそうです。

絵を所有するコート―ルド美術館の美術研究所の調査によると
女性の位置をわざわざ描きなおしたことが判明しており、
この不合理な配置には作者の狙いがあるようなのですが…

この番組を見ていて気が付いたのですが、
この絵に描かれている者の大半は鏡の中にあります。
ショーを見物する人たちも、空中ブランコに乗る曲芸師も、
至近距離で女性に話しかけているはずの客も、全て鏡に映る像で、
絵の中にいる現実の人間はバーメイドの女性ひとりだけ。
騒がしいはずのホールの中でこの女性だけがポツンと切り離されているようにも見えてきます。
もっと言えば女性が鏡の中に迷い込んでいるような…とまで言ったら流石に飛躍しすぎでしょうか。
ただ、周囲にあるもののほぼ全てが鏡を通して見る景色であることが女性の存在感を際立たせているのは確かな気がします。

「コートールド美術館展 魅惑の印象派」

2020年1月3日(金)〜2020年3月15日(日)

愛知県美術館 (愛知県名古屋市東区東桜1-13-2 愛知芸術文化センター10階)

10:00〜18:00(金曜日は20:00) ※入場は閉館の30分前まで

一般 1,600(1,400)円
高校・大学生 1,300(1,100)円 中学生以下無料
※「身体障害者手帳」「精神障害者保健福祉手帳」「療育手帳」のいずれかをお持ちの方
 その手帳に「1種」または「1級」と記載のある方の付き添いの方は1名まで当日料金が半額

毎週月曜日休館、1月14日(火)、2月25日(火)休館

公式サイトhttps://courtauld.jp/index.html

愛知県での展示が終了した後は、神戸市立博物館(兵庫県)で3月28日~6月21日

(東京都での展覧会は終了しています)