サントリー美術館の年間パスポート(2024よりデジタル化スタート) ― メンバーズクラブ会員の特典・新規入会方法は?

2022年に60周年を迎え、それにともなって会員証(年間パスポート)もリニューアルしたサントリー美術館(東京都港区)のメンバーズクラブ。
2024年には会員証のデジタル化がスタートします。(年会費の改定も…)

サントリー美術館のメンバーズクラブ会員証

サントリー美術館

東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階

10時~18時 (金・土曜日は20時まで開館)
※入場は閉館の30分前まで
※10時~11時はミッドタウン始業前のため、ガレリアの1階入口(六本木交差点側)のみ利用可能

火曜休館
展示替え期間・年末年始休館

一般・学生(高校・大学生)の入館料は展覧会ごとに異なる
中学生以下無料
団体料金は20名以上に適用

公式ホームページ

メンバーズクラブ会員の入会方法

メンバーズクラブの会員証は美術館入口のカウンターで入会(または更新)を申し込むと当日から発行されます。

また新規入会・更新手続きともに、サントリー美術館公式ホームページの「メンバーズクラブ」のページから手続きが可能です。

メンバーズクラブ会員の年会費(2024年4月17日より価格改定)

個人会員の場合、年会費 6,000円有効期限は翌年の入会月末日までとなります。
(月の初めに入会すれば、利用できる期間は13か月!)
個人会員の年会費は2024年4月17日から改定され7,000円となります。

サントリー美術館の入場料は大体、一般1500円、大学・高校生1,000円ほど。
(正確には展覧会によって変わります)
1年(入会・更新の時期によってはおよそ13か月)の間に一般は4~5回以上、学生は7回以上入館するとモトがとれます。
前売り券の場合、だいたい一般1,300円、学生800円なので、一般5回、学生9回ですね。

サントリー美術館の特別展は年に5回ほど開催されるため、そのすべてに1~2回ずつ通えば良いわけです。
(サントリー美術館に常設展示はありません)

2024年4月より、デジタル会員証スタート

2024年4月から、スマートフォンやタブレットをメンバーズクラブの会員証として使えるQRコード式のデジタル会員証のサービスがスタートします。
デジタル会員証は、2024年4月からオンラインでの登録が必要です。
(4月17日から美術館窓口でも登録可能)

新サービスでは景品と交換できるポイント制など、新しいサービスも利用できるそうです。



サントリー美術館のメンバーズクラブの特典 ― 年間パスポートだけじゃない!

美術館・博物館の会員証は「年パス」(年間パスポート)と呼ぶほど年間フリーパスのイメージが強いのですが、他にも色々なサービスがあります。

メンバーズクラブ会員(個人)の特典(個人)

  1. 年間フリーパス
    入館の際、本人および同伴者1名まで無料になります。
    (会員証の提示が必要)
  2. メンバーズ内覧会
    会員限定の貸切り鑑賞会が開催されます。
    本人および同伴者1名まで参加でき、学芸員によるレクチャーもあります。
    (レクチャーは抽選)
  3. 会員限定イベントなど、各種企画への招待
    企画の内容によっては抽選の可能性があります。
  4. 講演会やワークショップなどラーニングプログラムの優先受付
    メンバーズ優先枠を超えた場合は抽選になります。
  5. 小冊子「サントリー美術館ニュース」
    展覧会情報・インタビュー、ショップ・カフェの情報などを掲載した冊子が送付されます。
  6. 混雑時優先入場
    サントリー美術館は事前予約制をとっていませんが、混雑で入場待ちになった時にメンバーズ会員は優先で入場できます。
  7. 単眼鏡貸し出し
    会員本人限定で、単眼鏡の貸し出しサービスがあります。
    (数量限定)
  8. ミュージアムショップ(一部)・カフェの割引
    展覧会の図録が10%割引になります。
    また、ミュージアムショップの買物が10%引き(サントリー美術館オリジナル商品のみ)、カフェ「加賀麩不室屋」での飲食、買物は5%割引になります。
    ミュージアムショップ・カフェは、東京ミッドタウンカードのポイント・駐車料金サービスの対象外です。



提携美術館・博物館での割引

全国の提携美術館・博物館で入館料が割引になります。
2023年5月現在の提携館は以下の25館です。

  • 東京都
    出光美術館(東京都千代田区)
    三井記念美術館(東京都中央区)
    大倉集古館(東京都港区)
    泉屋博古館分館(東京都港区)
    畠山記念館(東京都港区)
    21_21 DESIGN SIGHT(東京都港区)
    五島美術館(東京都世田谷区)
    太田記念美術館(東京都渋谷区)
    山種美術館(東京都渋谷区)
  • 千葉県
    DIC川村記念美術館(千葉県佐倉市坂戸)
    千葉市美術館(千葉県千葉市中央区)
  • 滋賀県
    MIHO MUSEUM(滋賀県甲賀市信楽町田代)
  • 大阪府
    国立民族学博物館(大阪府吹田市 万博記念公園内)
  • 鳥取県
    植田正治写真美術館(鳥取県西伯郡伯耆町)
  • 島根県
    足立美術館(島根県安来市古川町)
    島根県立石見美術館(島根県益田市有明町)
    島根県立美術館(島根県松江市袖師町)
    島根県立古代出雲歴史博物館(島根県出雲市大社町)
  • 広島県
    広島県立美術館(広島県広島市中区)
    広島市現代美術館(広島県広島市南区)
    ひろしま美術館(広島県広島市中区)
    尾道市立美術館(広島県尾道市西土堂町)
  • 山口県
    山口県立美術館(山口県山口市亀山町)
    山口県立萩美術館・浦上記念館(山口県萩市平安古町)
  • 愛媛県
    愛媛県美術館(愛媛県松山市堀之内)


サントリー美術館の年パス(カード)は、デザインも要注目!

サントリー美術館の年間パスポートといえば、所蔵作品をモチーフにした会員証のデザインも見どころ。
たとえば2019年以前は国宝《浮線綾螺鈿蒔絵手箱》(ふせんりょうらでんまきえてばこ) デザインで、金粉を密に蒔いた上に螺鈿の浮線綾文(円形の中に花を割り付けた文様。有職文のひとつ)を並べた手箱を思わせる山吹色のカードでした。
(私の手元には残っていません。まだお持ちの方いらっしゃいますか?)

《八橋蒔絵扇形紅板》デザイン(2020年、リニューアルオープン記念)

2020年7月のリニューアルオープンを記念して作られた限定デザインは、メンバーズクラブの会員投票で4つの候補から選ばれたものです。
《八橋蒔絵扇形紅板》がモチーフで、黒地に金でカキツバタ・流水・橋の扇面が描かれていました。
当初2021年6月末までの予定でしたが、好評のため延長して配布されました。

《八橋蒔絵扇形紅板》(やつはし まきえ おうぎがた べにいた)の実物は、19世紀に作られた蒔絵の紅板(携帯用の口紅入れ)。
黒漆の地に金銀の蒔絵で杜若・流水・板橋を組み合わせた「八橋図」を表しています。
「八橋図」は『伊勢物語』第9段(東下り)の一場面で、工芸デザインのモチーフとしても古くから愛されてきました。

なお投票で第2位だったのは尾形乾山作の《白泥染付金彩薄文蓋物》(18世紀初め頃)でした。
サントリー美術館が所蔵する15の重要文化財のひとつですが、得票数で《八橋蒔絵扇形紅板》に大差をつけられました。
こちらが選ばれていた場合は陶器の模様をカード全面に写した大胆なデザインになる予定だったそうで、優雅な《八橋蒔絵扇形紅板》とはまた違った、魅力的なものになったことでしょう。


《黒綸子地宝尽竹模様腰巻》デザイン(2022年、メンバーズクラブ60周年記念)


1962年4月に発足したサントリー美術館メンバーズクラブの60周年にあたる2022年4月16日からは、新しいデザインの会員証が発行されました。
新デザインは、白いカードに淡い暖色と銀色で宝尽くしの文様をあしらった可愛らしい雰囲気。
草書体で書かれた「サントリー美術館めんばーずくらぶ」の文字も、ちょっとユルい感じがします。

元になったのは江戸時代(18世紀)の《黒綸子地宝尽竹模様腰巻》(くろりんずじたからづくしたけもようこしまき)。
「腰巻」とは室町時代から江戸時代にかけて武家の女性が着用した夏の正装で、形は小袖とほとんど変わりませんが、袖を通さず腰に巻くものです。
Wikipediaにも載っているお市の方の肖像(高野山持明院所蔵の《浅井長政夫人像》)などが、いわゆる「腰巻姿」になります。

デザインを担当したのは、アートディレクター ・ グラフィックデザイナーとして活躍する関本明子さん(株式会社ヒダマリ)。
他にメンバーズクラブのポスターとパンフレットもデザインしています。